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営業3年目。仕事にも慣れてきたはずなのに、辞めたいという気持ちが消えない。でも、「3年で辞めるのは早すぎるのでは」「根性がないと思われるのでは」「石の上にも三年と言うし」と、いろいろな声が頭の中でぐるぐる回って、動けずにいる。こういう方に向けて、正直なところを書きます。
私は営業の現場に20年いて、約70名の営業組織をマネジメントし、採用にも関わってきました。3年で辞めていった若手を、何人も見送ってきた立場です。でも、実を言うと、それだけではありません。私自身が、最初に入った会社の営業を、3年で一度辞めた人間なのです。だからこの記事は、採用する側と、実際に3年で辞めた側の、両方の目線から書きます。
先に結論をお伝えします。3年で辞めること自体は、決して「早すぎる」わけではありません。大事なのは何年やったかではなく、なぜ辞めるのか、そして辞めたあと、その経験とどう向き合うかです。ここを取り違えなければ、3年での退職は、あなたの人生を悪くするものにはなりません。
採用側は、3年で辞めた人をどう見ているのか
まず、採用する側の本音を、正直にお伝えします。3年で辞めたという事実に対して、採用側がまったく何も思わないかというと、それは違います。「うちに来ても、また3年で辞めるのだろうか」という不安は、頭の片隅にあります。ここはごまかしません。
ただ、それは「3年」という年数そのものを問題にしているわけではありません。採用側が本当に見ているのは、その人が「なぜ辞めたのか」を、自分の言葉で語れるかどうかです。3年もやっていれば、営業の一通りの経験は身についています。お客さまと向き合った時間も、数字を追った経験もある。それは決して短いキャリアではありません。だから、辞めた理由に納得感があり、次に何をしたいのかが見えている人なら、「3年で辞めた」というだけで敬遠されることは、あなたが思うほど多くありません。
逆に評価が下がるのは、「なんとなくしんどくて」「まわりが辞めるから」といった、理由のあいまいな辞め方です。年数ではなく、辞め方と語り方。ここが分かれ目です。
私が、最初の営業を3年で辞めたときの話
ここからは、私自身の話をさせてください。きれいな成功談ではありません。むしろ、迷いと葛藤の話です。
私は26歳のときに中途で入った会社で営業を始め、そこから3年目に一度、辞めました。しかも、次の仕事を決めてから辞めたわけではありません。辞めてから探す、という、今思えばずいぶん危なっかしい状態でした。当時の私は、目の前の仕事に気持ちが向かなくなっていて、とにかく一度この場所を離れたい、という思いが先に立っていたのだと思います。
そして、辞めてしばらくした頃に、東日本大震災が起きました。仕事も決まらず、これからどうしようと足踏みしていた自分の目の前で、社会が大きく揺れていました。多くの人が必死に動いている。それなのに、自分は社会に対して何ひとつ貢献できていない。いったい自分は何をしているのだろう。そんなモヤモヤとした葛藤が、ずっと胸の中にありました。仕事を辞めて自由になったはずなのに、心はまったく晴れていませんでした。
そんなときです。以前お世話になっていた部長から、連絡をもらいました。「よかったら、戻ってこいよ。力を貸してくれ」と。一度自分から辞めた身です。それなのに、そんなふうに声をかけてもらえた。この一本の連絡が、当時の私にとって、どれほどありがたかったか。うまく言葉にできません。
どうせ戻るのなら、今度は腹をくくってやろう。そう思って、私は戻りました。そこからは、途中でくじけそうになる場面も数え切れないほどありましたが、通算で12年、営業の世界で走り続けることになりました。今は40代になりましたが、あの3年での退職と、戻るという選択は、間違いなく私の人生のターニングポイントでした。もしあのとき違う道を選んでいたら、と、今でも時々考えます。
この経験から、私が伝えられること
自分の話を長くしてしまいました。けれど、この経験があるからこそ、3年目で辞めるか迷っているあなたに、伝えられることがあります。
辞めて、初めて気づくことがある
私は、辞めてから気づいたタイプでした。離れてみて初めて、「自分は、恵まれた環境でやっていたんだな」と分かったのです。中にいるときは当たり前だと思っていたものが、外に出て初めて、ありがたかったと分かる。だから、辞めることが一概に悪いとは言えません。辞めるという経験そのものより、そこから何に気づけるかのほうが、ずっと大きいのです。この「辞めて気づく」という話は、営業を辞めて後悔する人と、しない人でも詳しく書いているので、あわせて読んでみてください。
3年で辞めても、道は一つではない
3年で辞める、と聞くと、まるで人生が決まってしまうように感じるかもしれません。でも、実際はそうではありません。別の会社に移る道もあれば、私のように元の場所へ戻る道もある。まったく違う職種に進む道もあります。辞めることは、終わりではありません。むしろ、そこからいくつもの道が枝分かれしていく、その入口です。私自身、一度辞めたからこそ、戻ってきたときに腹をくくることができました。回り道に見えたものが、後から意味を持つことは、本当にあります。
大事なのは、辞める前と後に「向き合えるか」
ただ、どの道に進むにしても、一つだけ欠かせないことがあります。それは、「自分は何が嫌で辞めたのか」「本当は何がありがたかったのか」を、立ち止まって考えられるかどうかです。私の場合は、震災という出来事があって、いやおうなく自分と向き合わされました。けれど、本来はそうした大きなきっかけがなくても、自分から向き合うことができるはずです。ここから逃げずに考えられた人は、次の場所でも、戻った場所でも、必ず伸びていきます。
3年目で辞めるか迷っている、あなたへ
採用側であり、自分も3年で辞めた人間として、迷っているあなたに伝えたいことを、いくつかまとめます。
年数で決めないでください。「3年経ったから辞めていい」でも、「3年では早すぎる」でもありません。何年やったかは、辞める理由にも、続ける理由にもなりません。見るべきは、今のあなたが何に苦しんでいて、それが場所を変えれば解決するものなのかどうかです。
それが「逃げ」か「選び直し」か、正直に見てください。目の前のしんどさから離れたいだけなのか、行きたい方向があるのか。この違いは、その後を大きく分けます。ここについては、営業を辞めたい、でも何がしたいかわからない人へで、考え方を整理しています。
辞めた後に、ちゃんと向き合ってください。私がそうだったように、辞めて初めて見えるものがあります。その気づきを、次に活かせるかどうかが分かれ目です。辞めること自体を、自分を責める材料にしないでください。
そして、20代のうちなら、やり直しは十分に効きます。これは採用側として、はっきり言えることです。第二新卒やポテンシャル採用の枠は、若いうちほど広く開いています。年齢が上がるほど、「これから育てよう」ではなく「即戦力か」を問われ始めます。だから、本当に今の環境が合わないと感じていて、辞める理由を自分で分解できているなら、動くのを先延ばしにする理由はありません。「3年で辞めるのは早いかも」とためらっているうちに、一番動きやすい時期が過ぎてしまうほうが、もったいないのです。
まとめ
- 3年で辞めること自体は、早すぎるわけではない。大事なのは年数でなく、辞め方と、その後どう向き合うか
- 採用側が見ているのは「なぜ辞めたか」を自分の言葉で語れるか。3年の経験は決して短くない
- 辞めて初めて気づくことがある。辞めることは終わりでなく、いくつもの道の入口
- 逃げか選び直しかを正直に見て、辞めた後に自分と向き合えるかが分かれ目
- 20代のうちなら、やり直しは十分効く。迷うなら、動きやすい今のうちに
3年目で辞めたいと悩むこと自体は、あなたが真剣に自分の仕事と向き合っている証拠です。私自身、一度辞めて、戻って、通算12年やってきました。あの選択があったから、今があります。あなたの3年も、辞めるにしても続けるにしても、これからの向き合い方しだいで、きっと意味のある3年に変わります。まずは、今の自分が何に苦しんでいるのかを、落ち着いて見るところから始めてみてください。
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この記事を書いた人
営業ひとすじ20年。電話営業・インサイドセールスの現場から始まり、約70名の営業組織のマネジメントを経験。採用面接にも数百人単位で関わってきました。「辞めて正解だった人」も「辞めなくてよかった人」も見てきた立場から、テレアポ・インサイドセールス・営業職の次のキャリアについて、きれいごとではない話を書いています。


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