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SaaS営業への転職を考えたとき、「マーキャリ」「UZUZ」「LHH」という名前を見かけて、結局どれを使えばいいのか迷っている方もいると思います。前の記事では、エージェントの選び方や良し悪しの見分け方を書きました。この記事では、その続きとして、3社を実際に名指しで比較し、あなたの経験レベルによってどれが向いているかを整理します。
結論を先に言うと、この3社は「どれが一番良いか」を競う関係ではなく、得意なタイミングが違うという関係です。
なぜ今、テレアポ・IS出身者がSaaSを目指すのか
ここ数年、テレアポやインサイドセールスの経験を武器にSaaS企業へ転職する人が増えています。理由の一つは、SaaS企業の多くが「The Model」と呼ばれる分業型の営業組織を採用しているためです。テレアポ・IS経験は、そのままSDR(インサイドセールス職)としての実務経験に近く、ゼロから未経験で飛び込むより評価されやすい土台になります。
もう一つの理由は、役割が明確に分かれている分、次のキャリアが見えやすいことです。SDRからフィールドセールス、フィールドセールスからマネージャーへと、任される役割が変わるたびに年収のレンジも上がっていく構造になっているためです。この構造については年収の記事で詳しく書いていますが、SaaS業界はこの「役割が変わると年収が変わる」という構造がとくにはっきり出やすい業界です。
ただし、この構造が見えやすい分、転職活動そのものは一人で進めるより情報戦になりやすい側面もあります。「今この会社では、どの役割の求人が出やすいか」「この求人の実際の裁量はどこまでか」といった、求人票だけでは分からない情報を持っているのは、その業界を専門に見ているエージェントです。だからこそ、SaaSを目指すなら、業界特化型のエージェントを味方につける価値が大きいと言えます。
3社の立ち位置
| エージェント | 得意な相手 | 強み |
|---|---|---|
| マーキャリ NEXT CAREER | SaaS転職を本気で目指す人(経験問わず) | SaaS業界特化。営業経験を「SaaSの言葉」に翻訳して企業に伝えてくれる |
| UZUZ第二新卒 | 20代・第二新卒・未経験からSaaSの入口を目指す人 | 書類選考なしで会える求人が多く、経験の浅さをカバーしてくれる |
| LHH転職エージェント | 30代以降・経験を積んでSaaSのハイクラスポジションを目指す人 | アデコ系の総合力。年収交渉やポジション調整に慣れている |
各社の強みは、公式サイト・サービス紹介の記載内容と、筆者が採用担当として候補者を受け入れてきた中での実感をもとにしています。
マーキャリが向いている人:SaaSに本気で行きたいが、言葉が通じるか不安な人
マーキャリはSaaS・IT業界に特化したエージェントです。3社の中で唯一、業界そのものに特化しているのが特徴です。
テレアポ・インサイドセールス出身の方がSaaS企業の選考を受けると、面接官から「うちの商材理解はどれくらいありますか」「SaaSのビジネスモデルは理解していますか」と聞かれることが多くあります。ここで、これまでの営業経験を自己流で説明すると、SaaS特有の言葉(LTV、チャーン、ARR、The Modelなど)とかみ合わず、実力が正しく伝わりません。マーキャリのようなSaaS特化型のアドバイザーは、この「翻訳」を代わりにやってくれるのが最大の価値です。
経験年数を問わず使えるので、迷ったらまずここに登録して、SaaS業界の温度感をつかむ、という使い方が現実的です。
もう少し具体的に言うと、「テレアポで1日500件架電し、獲得率を改善してきた」という実績は、そのままではSaaS企業の採用担当には刺さりません。ですが「架電の設計・スクリプト改善を通じて、リード獲得の歩留まりを改善してきた」という言い方に変えると、SaaS企業が求める「仕組み化への意識」として伝わります。この言い換えを、業界を知らない自己流でやろうとすると、的外れな方向に寄ってしまいがちです。業界を知っているアドバイザーが間に入ることで、この翻訳の精度が上がります。
マーキャリ NEXT CAREER
SaaS・IT業界特化の転職エージェント。業界に精通したアドバイザーが、あなたの営業経験を「SaaSの言葉」に翻訳して転職先に伝えてくれます。無料でキャリア面談ができます。
UZUZが向いている人:まだ実績が薄い、20代のうちにSaaSの入口を掴みたい人
SaaS営業の入口として、まずSDR(インサイドセールスの一種で、見込み客の発掘・アプローチを担う職種)から始める人が多くいます。SDRとは?未経験がまず狙うべき、SaaS営業の入口でも書いたとおり、SDRはSaaS企業にとって比較的採用のハードルが低いポジションです。
ただ、いくらハードルが低いといっても、テレアポの経験しかない状態でSaaS企業に直接応募すると、書類選考の段階で落ちることが珍しくありません。ここでUZUZのような第二新卒特化型を使うと、書類選考なしで会える求人にアクセスできるため、「まず話を聞いてもらう」というハードルそのものを下げられます。
20代で、SaaSでのキャリアを長い目で作っていきたいという人には、経験の浅さを理由に足踏みするより、UZUZ経由で早めに一社目の実績を作りにいく方が、結果的に近道になることが多いです。一社目でSDRとしての実績を作れば、二社目以降はマーキャリやLHHのような、より条件面を重視したエージェントに切り替えていく、という段階的なキャリア設計もできます。最初の一社を「完璧な会社」にする必要はなく、「次に進むための実績を作れる会社」という基準で選ぶ方が、遠回りに見えて着実です。
UZUZ第二新卒
20代・第二新卒・既卒向けの就職・転職サポート。書類選考なしで会える求人も多く、未経験からのキャリアチェンジに強いエージェントです。無料で相談できます。
LHHが向いている人:営業経験を武器に、SaaSのハイクラスを狙いたい人
テレアポやインサイドセールスで数年の実績を積んだ方が、次はSaaS企業のフィールドセールスや、マネジメント層を目指すケースもあります。別記事でも書きましたが、SaaS業界は役割ごとの年収の伸びが大きく出やすい業界です。この段階になると、必要なのは「入口を紹介してもらう」ことより、「これまでの実績を、次のポジションに見合う条件で交渉してもらう」ことです。
LHHはアデコ株式会社が運営する総合型のエージェントで、年収交渉やポジション調整に慣れているのが特徴です(出典:LHH公式サイト)。SaaS専業ではありませんが、SaaS企業のミドル〜ハイクラス求人も扱っており、経験を積んだ層が次のキャリアに進む際の選択肢として現実的です。
マーキャリのようなSaaS特化型と併用し、「業界知識の翻訳」はマーキャリに、「条件交渉」はLHHに任せる、という役割分担も一つの使い方です。
経験を積んだ層がLHHのような総合型を使うメリットは、SaaS以外の選択肢も同時に見られる点にもあります。SaaSへの転職を軸にしつつ、条件次第では他業界の営業マネージャー職も検討したい、という場合、SaaS特化型だけでは選択肢が狭くなりがちです。総合型を一社持っておくことで、SaaSに固執しすぎず、視野を広く保ったまま転職活動を進められます。
LHH転職エージェント
人材大手アデコ株式会社が運営する総合型転職エージェント。ミドル〜ハイクラス層まで幅広く対応し、コンサルタントの提案力に定評があります。無料で登録・相談できます。
経験年数別の組み合わせ方
ここまでを踏まえて、経験年数別の現実的な組み合わせをまとめます。
- テレアポ・IS経験1〜2年、20代:マーキャリ+UZUZの2社体制。SaaSの言葉への翻訳と、書類選考なしで会える求人の両方を確保する。経験年数が浅いうちは、選考のハードルそのものを下げてくれるUZUZの存在が大きいです
- テレアポ・IS経験3年以上、または30代:マーキャリ+LHHの2社体制。業界知識の翻訳と、年収・ポジション交渉の両方を任せる。この段階では「会えるかどうか」より「条件が見合うかどうか」が焦点になるため、交渉に強いエージェントの価値が上がります
- まだ経験年数に関わらず様子見の段階:まずマーキャリ1社に登録し、SaaS業界の温度感・求人の実態をつかんでから、UZUZかLHHのどちらを足すか判断する。いきなり3社すべてに登録すると、面談の日程調整だけで疲弊してしまうので、1社ずつ段階的に増やす方が続けやすいです
最初の面談で、何を話せばいいか
エージェントに登録したものの、最初の面談で何を話せばいいか分からず、当たり障りのない自己紹介だけで終わってしまう人もいます。それでは、エージェントもあなたに合う求人を探しづらくなります。
最初の面談で伝えておきたいのは、次の3点です。①これまでの営業経験の中で、数字以外に工夫してきたこと(架電の設計、資料の作り方、断られたときの切り返しなど)、②SaaSのどの部分に興味を持ったのか(分業された組織で専門性を伸ばしたいのか、成果が数字で見える仕事がしたいのか)、③絶対に避けたい条件(勤務地、働き方、避けたい業界など)です。この3点さえ伝われば、担当者はあなたに合う求人を探しやすくなります。
1社に絞って様子を見るより、無料で使える範囲で複数登録し、実際に話してみて相性の良い担当者を残す方が、結果的に転職までの時間は短くなります。
よくある不安に答えます
「SaaS未経験でも、本当に相手にしてもらえるのか」という不安を持つ方は多いです。結論から言うと、テレアポ・インサイドセールスの経験があれば、SDRという入口に限れば十分に相手にしてもらえます。SaaS企業側も、SaaS経験者だけを採用していては採用数が足りないため、「営業の基礎ができている人」を業界未経験でも採る動きは一般的になっています。ただし、面接で「なぜSaaSなのか」「なぜこの会社なのか」を自分の言葉で説明できるかどうかは見られます。ここは、エージェントとの面談を通じて事前に整理しておくべき部分です。
「複数のエージェントに同時登録すると、企業に何度も紹介されて迷惑にならないか」という質問も受けます。同じ企業の同じポジションに、複数のエージェント経由で重複応募すると、企業側の管理が煩雑になり、印象を落とすことがあります。応募する企業が重ならないよう、エージェントごとに紹介された求人を自分でメモして管理する、という一手間は必要です。
「登録してから、実際に転職するまでどれくらいかかるのか」も気になるところだと思います。エージェントごとの初回面談は、登録から数日以内に設定されることが多く、そこから求人紹介、書類選考、面接という流れになります。SaaS企業は面接回数が多い分、テレアポ企業への転職より選考期間が長くなる傾向があり、登録から内定まで1〜3ヶ月程度を見ておくと現実的です。焦って1社に決め打ちするより、この期間で複数社を比較しながら進める方が、結果的にミスマッチを避けられます。
採用する側として、一つだけ付け加えたいこと
SaaS企業の選考は、テレアポ企業の選考と比べて、面接の回数が多く、選考期間も長くなる傾向があります。カルチャーフィット(会社の価値観や働き方との相性)を重視する会社が多いためです。この過程で、候補者が息切れしてしまう場面を何度か見てきました。
ここで良いエージェントがついていると、面接ごとのフィードバックを整理して伝えてくれたり、「次の面接ではこの点を意識してください」と具体的にアドバイスをくれたりします。これは、一人で転職活動をしていると得られない情報です。エージェントを使う一番の価値は、求人を紹介してもらうことよりも、こうした選考の途中で伴走してもらえることにあると、採用する側から見ていても感じます。
もう一つ付け加えると、SaaS企業の面接官は、あなたの過去の実績そのものより、「なぜテレアポ・IS経験からSaaSに来たのか」という一貫性を見ています。ここで「なんとなく安定していそうだから」と答えるより、「分業された組織の中で、自分の専門性を伸ばしたいから」というように、SaaSという働き方そのものへの理解を示せると、印象が大きく変わります。この一貫性のあるストーリーを一緒に組み立ててくれるかどうかも、エージェントを選ぶ際の一つの基準になります。
エージェントに急かされても、決めるのは自分のペースで
転職活動を進めていると、「この求人は今週中に返事が必要です」「他にも候補者がいるので早めに」といった言葉を担当者からかけられることがあります。企業側の選考スケジュールとして本当にそうであることもありますが、中には、成約を急ぐためにプレッシャーをかけてくる担当者もいます。
採用する側として言えるのは、急かされて決めた転職は、入社後のミスマッチにつながりやすいということです。良い担当者であれば、あなたが納得できるまで待つ姿勢を見せてくれます。逆に、返事を急かすばかりで、あなたの疑問や不安に丁寧に答えてくれない担当者に当たったら、その求人自体を見送るか、担当を変えることを検討してください。転職はあなたの人生の話であって、エージェントの成約実績のための話ではありません。
まとめ
マーキャリ・UZUZ・LHHは、優劣を比べる3社ではなく、あなたの経験年数と、今どの段階にいるかによって使い分ける3社です。SaaSへの翻訳が欲しいならマーキャリ、20代で入口を掴みたいならUZUZ、経験を武器に条件交渉したいならLHH。まずは自分がどこに近いかを整理して、無料相談から始めてみてください。
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※出典を記載した部分は、その媒体の見解・一般的な傾向です。出典のない部分は、筆者が約70名の営業組織を管理してきた中での実感であり、統計ではありません。エージェントの質やサービス内容は、担当者・時期によって変わります。
この記事を書いた人
営業ひとすじ20年。電話営業・インサイドセールスの現場から始まり、約70名の営業組織のマネジメントを経験。採用面接にも数百人単位で関わってきました。「辞めて正解だった人」も「辞めなくてよかった人」も見てきた立場から、テレアポ・インサイドセールス・営業職の次のキャリアについて、きれいごとではない話を書いています。


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