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「テレアポを続けてきたけれど、この先どうしよう」と調べていると、必ず出てくるのがSaaSという言葉だと思います。
SaaS業界は伸びている。インサイドセールスの求人が多い。未経験歓迎も多い。年収も上がるらしい。
でも、実際のところどうなのか。自分のテレアポ経験は、本当にSaaSで通用するのか。 ここが知りたいところだと思います。
私は営業ひとすじ20年、約70名の営業組織を管理し、採用する側・面接する側をやってきました。その立場から、あなたの経験がSaaSで「活きる部分」と「まったく通用しない部分」を、正直に書きます。
先に結論だけ言っておきます。活きます。ただし、そのまま持ち込むと失敗します。
まず、SaaS営業の構造を知っておく(THE MODEL)
ここを知らないまま応募すると、面接で必ずズレます。
多くのSaaS企業は「The Model(ザ・モデル)」という営業プロセスを採用しています。Salesforce社が体系化したもので、営業を分業するのが特徴です(出典:デジキャリほか)。
- インサイドセールス(IS):電話・メール・オンラインで見込み客に接点を持ち、商談機会を作る
- フィールドセールス(FS/AE):ISから引き継いだ見込み客に提案し、クロージングする
- カスタマーサクセス(CS):契約後、お客さまが成果を出せるよう支援する
そして、インサイドセールスはさらに2つに分かれます。
- SDR:マーケティングが獲得したインバウンドのリード(問い合わせ・資料請求など)に対応する。相手からの接触があるのでアプローチしやすく、未経験向けのポジションが多い
- BDR:こちらから仕掛けるアウトバウンド型
つまり、SaaSの営業は「一人で全部やる」仕事ではありません。ここが、これまでの営業と決定的に違うところです。
SaaS営業の年収相場
気になるところだと思うので、先に出します。職種別の相場は、おおむね次のように言われています(出典:ホキラオンエージェント、キャリア・エックスほか)。
| 職種 | 年収の目安 |
|---|---|
| インサイドセールス(IS) | 400万〜700万円 |
| フィールドセールス(FS/AE) | 600万〜1,000万円超 |
| カスタマーサクセス(CS) | 550万〜1,000万円 |
| 外資系のシニアAE | OTEで1,500万〜2,500万円超のケースも |
未経験から入る場合は、インサイドセールスで400万〜500万円程度からのスタートが多いとされています。そして成果を出せば2〜3年でフィールドセールスへ進み、年収600万〜800万円台も見込める、というのが一般的なキャリアの描き方です。
さらに、コールセンターやテレアポからSDR・ISへ転身して、年収が50万〜150万円上がった例も観測されていると報告されています(出典:ホキラオンエージェント)。
※これらはあくまで各媒体が示す相場・目安です。実際の金額は企業・地域・時期・個人の経歴で大きく変わります。求人票の金額を必ずご確認ください。
キャリアパス:SDR → IS → AE
多くのSaaS企業で、標準的なステップはこう言われています(出典:ホキラオンエージェント)。
- SDR(0.5〜1.5年)→ IS(1〜2年)→ AE/フィールドセールス(2年以上)
- 早い方だと、入社2〜3年でAEに到達するケースもある
ここが、テレアポとの大きな違いです。
はっきり言ってしまうと、テレアポは、どこまで行ってもテレアポです。 3年やっても5年やっても、多くの職場では、やることは変わりません。うまくなっても、行き先が用意されていない。ここに苦しさを感じている方は、多いと思います。
ですがSaaSでは、インサイドセールスは「上がっていくための入口」として設計されています。SDRから始めて、IS、そしてAEへ。階段が最初から用意されているわけです。この差は、正直かなり大きいです。
同じ「電話をかける仕事」でも、その先に道があるかどうか。これが、テレアポからSaaSへ移る、いちばん大きな意味かもしれません。
マーキャリ NEXT CAREER
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あなたのテレアポ経験は、SaaSで活きます
ここは自信を持ってください。テレアポ経験・コールセンター経験・カスタマーサポート経験は、SaaSのインサイドセールスと親和性が高いとされています(出典:ホキラオンエージェント)。
具体的に、何が活きるのか。採る側の目線で言うと、この3つです。
- 電話で信頼を作れること。顔が見えない相手に、声だけで伝える。これは訓練しないと身につきません
- 断られ慣れていること。SaaSでも断られます。ここで折れない人は、それだけで貴重です
- 数字で動けること。SaaSは徹底的に数字で管理される世界です。コール数、通電率、商談化率。数字を追う習慣がある人は、すっと馴染みます
ですが、そのまま持ち込むと失敗します
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
テレアポとインサイドセールスは、目的がまったく違います。
| 目的 | |
|---|---|
| テレアポ | アポイントの「数」を取ること |
| インサイドセールス | 顧客育成。いかに潜在的な課題を引き出し、ニーズを最大化した状態でフィールドセールスへ引き継ぐか |
(出典:デジキャリ)
読んでいただければ分かると思いますが、これは「電話をかける仕事」という共通点があるだけで、中身は別の仕事です。
ややこしいのですが、「インサイドセールス」は2つの違う仕事を指します
ここは、実際にやってきた立場から補足させてください。求人を見るときに、絶対に効きます。
「インサイドセールス」という言葉は、実はまったく違う2つの仕事に使われています。
- ① 分業型(SaaSのThe Model):商談機会を作って、フィールドセールスへ引き継ぐ。クロージングはしません
- ② 完結型:電話だけで、クロージングまで自分でやり切る。契約を取るところまでが仕事
私が長くやってきたのは、②の完結型です。電話で提案して、電話で契約まで取り切る。ですから「インサイドセールスをやっていました」と言っても、①の会社と②の会社では、話がまったく噛み合いません。求められる力も、評価のされ方も、別物だからです。
そして、これも大きなギャップの元になります。「同じインサイドセールスだから大丈夫だろう」と思って入ったら、やることが全然違った。実際に起きます。
だから求人を見るときは、「どこまでやるのか」を必ず確認してください。 クロージングまでやるのか、商談を渡すところまでなのか。面接で聞いても、まったく失礼になりません。むしろ「分かっている人だ」と思われます。
テレアポの世界で優秀だった人は、「とにかくアポを取る」ことに最適化されています。断りを切り返して、押し込んで、数を作る。それで結果を出してきた。だからこそ、その成功体験を手放せません。
ところがSaaSでは、質の低いアポをたくさん渡す人は、評価されません。フィールドセールスの時間を無駄にするからです。「アポは取れているのに評価されない」。ここで、「こんなはずじゃなかった」が起きます。
邪魔をするのは、あなたの実績です
私が採用する側として、いちばん警戒していたのがこれです。
先入観と固定概念。 これは、営業をやるうえでいちばん営業を弱くする部分だと思っています。
そして厄介なことに、前の場所で実績を上げてきた人ほど、これが強くなります。当然です。そのやり方で結果を出してきたのだから、信じて当たり前です。でも、商材が変われば、常識は通用しません。
逆に言えば、「前のやり方は、ここでは通用しないかもしれない」と最初から思える人は、経験者でも未経験者でも、すっと入っていけます。結局、手放せるかどうかなんです。
未経験から入るなら、SDRが現実的です
「SaaSに行きたいけど、業界のことは何も知らない」。それで問題ありません。
前述のとおり、SDRはマーケティングが獲得したインバウンドのリードに対応するポジションです。相手から問い合わせや資料請求があった状態なので、まったくの飛び込みより、はるかにアプローチしやすい。だから未経験向けの求人が多く、入口として広く採用されています(出典:デジキャリ、ホキラオンエージェント)。
これ、テレアポをやってきた方には、かなり大きな違いのはずです。「興味がない人に、いきなりかける」のではなく、「興味を示してくれた人に、かける」のですから。
ただし勘違いしないでください。楽になるわけではありません。 相手が興味を持っているぶん、こちらの理解の浅さは即バレます。商材の勉強量は、テレアポの比ではありません。
採る側から見た「SaaSに行ける人/苦戦する人」
最後に、面接する側としての本音を書きます。
行ける人
- テレアポとISは目的が違う、と自分から言える人(分かっている証拠です)
- 数字を「自分の言葉」で説明できる人。なぜその数字だったのかを語れる
- うまくいかなかったときに、自分で何かを変えてきた人(PDCAを回せる人)
- 素直に型に乗れる人。SaaSは分業と型の世界です。我流は通りません
苦戦する人
- 「前職ではトップでした」で止まってしまう人
- アポの数だけで語る人(質の話が出てこない)
- 前のやり方を疑えない人
お気づきかもしれませんが、ここに書いたことは、全部「先入観を手放せるか」に集約されます。SaaSの知識がないことは、まったく問題になりません。勉強すれば済む話です。問題になるのは、いつも考え方のほうです。
次に読むといい話
SaaSを目指すと決めたなら、次はこのあたりが具体的に効きます。
インサイドセールスの面接で、実際に何を聞かれるのか。 志望動機の作り方と例文をまとめました。
▶ インサイドセールスの面接で聞かれること。志望動機はこう作る(例文つき)
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▶ 30代以降・未経験からインサイドセールスへ。採る側が見てきたリアル
まとめ
営業からSaaSへの転職は、現実的なルートです。テレアポ経験・コールセンター経験は、SaaSのインサイドセールスと親和性が高いとされていますし、未経験の入口としてSDRのポジションが広く開かれています。年収も、上がる可能性は十分にあります。
ただし、テレアポとインサイドセールスは目的が違います。アポの数を取る仕事から、顧客を育てる仕事へ。ここを理解しないまま、前のやり方を持ち込むと、必ずつまずきます。
そして忘れないでほしいのが、「インサイドセールス」には、商談を渡す分業型と、電話でクロージングまでやり切る完結型の2つがあるということ。求人ごとに「どこまでやるのか」は必ず確認してください。 ここを確認するだけで、入社後のギャップは大きく減らせます。
そして、それを邪魔するのは知識不足ではなく、あなたが積み上げてきた先入観と固定概念です。実績がある人ほど、そこが強い。
逆に言えば、この記事を読んで「たしかに、自分のやり方は通用しないかもしれない」と思えたなら、あなたはもう、いちばん難しい部分をクリアしています。
※本文中の年収相場・キャリアパス・職種の説明は、記載した出典が示す目安・一般的な傾向です。出典のない部分は、筆者が約70名の営業組織を管理してきた中での実感であり、統計ではありません。実際の待遇・評価・難易度は、企業・時期・個人の経歴によって大きく変わります。応募先の求人情報を必ずご確認ください。
→ マーキャリ・UZUZ・LHH。SaaS営業への転職に強いエージェントを、経験レベル別に比較しました
この記事を書いた人
営業ひとすじ20年。電話営業・インサイドセールスの現場から始まり、約70名の営業組織のマネジメントを経験。採用面接にも数百人単位で関わってきました。「辞めて正解だった人」も「辞めなくてよかった人」も見てきた立場から、テレアポ・インサイドセールス・営業職の次のキャリアについて、きれいごとではない話を書いています。


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