インサイドセールスの面接。何を聞かれて、志望動機はどう作ればいいのか。
とくに悩ましいのが、「なぜインサイドセールスなんですか?」という質問だと思います。ここで詰まる方が、本当に多いです。
営業ひとすじ20年、約70名の営業組織を管理し、面接する側をやってきた立場から、実際に聞かれることと、志望動機の作り方を、例文つきで書きます。
まず、実際によく聞かれる質問
インサイドセールスの面接では、こういった質問がよく出ます(出典:SalesZine)。
- これまでの経験の中で、インサイドセールスに活かせるスキルや経験は何ですか
- 相手のニーズを聞き出すために、どのようなことをしますか
- 電話の向こうの相手が不満を訴えている場合、どう対処しますか
気づいたでしょうか。3つとも「話す力」ではなく「聞く力・受け止める力」を聞いています。
これは偶然ではありません。インサイドセールスの求人で採用する企業が最も求めているのは「営業経験」そのものではなく、「傾聴力・ヒアリング力・コミュニケーション能力」だとされています(出典:キャリアラダー)。
つまり、ペラペラ喋れる人を探しているわけではないのです。ここを勘違いすると、面接でズレます。
その前に。私にとって面接は「ギャップを埋める場」です
質問の答え方を書く前に、これだけは知っておいてほしいです。私が面接でいちばんやりたいのは、あなたを試すことではありません。ギャップをなくすことです。
面接をしていると、違和感は必ず生まれます。この人、想像している仕事と実際が違うんじゃないか、という感覚です。そこを放っておくと、どうなるか。入社してすぐ辞めることになります。
これは、お互いにとって損でしかありません。
会社からすると、入社手続きをして、研修費用をかけて、やっと立ち上がってきたところで辞められる。かけたお金が、まるごと無駄になります。
そしてあなたの側も、早期離職は履歴書に傷として残ります。次の転職で必ず聞かれます。
だから私は、面接をギャップの埋め合わせの場だと思っています。良いことばかり言って入社してもらっても、誰も幸せになりません。
ギャップが起きやすい3つのパターン
経験上、こういう方はギャップを感じやすいです。
- 対面営業から来る方
- 30代以降で未経験から来る方
- テレアポ経験者でも、まったく違う商材をやっていた方
3つめは見落とされがちです。同じ「1日500コール」でも、個人のお客さま向けと法人向けでは、まったく別の仕事です。商材が変われば、断られ方も、必要な準備も、目標の立て方も変わります。「テレアポ経験者だから大丈夫」とは、こちらも思っていません。
対面営業から来る方へ
これは、私自身の話です。私は対面の営業を12年やってきました。そして、いちばん苦労したのは「お客さまを探すこと」でした。
その点、インサイドセールスは違います。電話にせよメールにせよ、目の前にお客さまはいるんです。 あとは、そこから突破できるかどうか。それは本人次第です。
探す苦労がない代わりに、目の前にいる相手をどう動かすかだけに向き合うことになる。この違いを分かって来る方は、強いです。
いちばん大事な質問:「なぜインサイドセールスなのか」
ここが本丸です。そして、いちばん見抜かれるところでもあります。
正直に言うと、この質問で採る側が確かめたいのは、志望度の高さではありません。「この人は、インサイドセールスがどういう仕事か分かっているのか」です。
というのも、インサイドセールスは黙々と自分と戦う時間がほとんどの仕事だからです。誰かが横で励ましてくれるわけでもなく、断られ続ける。華やかなイメージで来ると、確実にギャップに潰されます。
だから、「対面がしんどいから」「外回りが嫌だから」といった”逃げ”の動機は、すぐ分かります。逃げで来た人は、次にしんどくなったらまた逃げるからです。
逆に、厳しさを分かった上で「それでもやりたい」と言える人は、それだけで信用されます。「大変だと聞いています」と自分から言える人は、むしろ強い。
志望動機は、この3つを組み立てるだけ
難しく考える必要はありません。順番はこれだけです。
- 過去:これまでの経験で、何を掴んだか(活かせるもの)
- 現在:だから、なぜインサイドセールスなのか
- 未来:そこで、どうなっていきたいか
この3つが一本の線でつながっていること。それだけで、志望動機としては十分に成立します。
例文1:テレアポ経験がある場合
「テレアポを3年続ける中で、断られた理由を記録して切り返しを作り直す作業を繰り返してきました。その中で、数を打つことよりも、相手が何に困っているかを聞き出せたときのほうが、はるかにアポにつながると気づきました。(過去)
ただ現職はアポイント数が最優先で、その先まで関われません。もう一歩踏み込んでお客さまの課題を聞き、そこまで含めて成果にできる環境で働きたいと考えました。インサイドセールスが決して楽な仕事でないことは理解していますが、電話で信頼を作る難しさは、いちばん経験してきたつもりです。(現在)
まずは早く戦力になり、将来的には自分の型をチームに共有できる立場になりたいと考えています。(未来)」
なぜ効くか:「断られた理由を記録して切り返しを作り直した」という工夫の跡が入っています。そして「楽ではないと理解している」と自分から言っている。これで、逃げではないことが伝わります。
例文2:営業未経験の場合
「接客の仕事で、お客さまの要望をそのまま受け取るのではなく、なぜそれが欲しいのかまで聞くようにしていました。その一手間で、結果的にご満足いただけることが多かったです。(過去)
その経験から、相手の課題を聞き出すことを軸にした仕事に興味を持ち、インサイドセールスを志望しました。顔が見えない分、聞く力がより問われる仕事だと理解しています。未経験ですので、まずは素直に吸収することから始めます。(現在)
1年後には、自分で改善を回せる状態になっていたいです。(未来)」
なぜ効くか:未経験者は、実績で勝負できません。だからこそ「聞く姿勢」と「素直さ」を出す。前述のとおり、企業が求めているのはまさにそこです。
例文3:法人営業からの転職の場合
「法人営業として、決裁者にたどり着くまでの関係構築や、社内稟議を通すための資料作りに時間をかけてきました。その中で、お客さまが本当に困っていることを先に聞き出せていれば、提案の精度も、決裁までの速さもまったく変わると実感してきました。(過去)
ただ現職は、訪問先を探すこと自体に時間がかかり、お客さまと向き合う時間そのものが限られているのが課題でした。インサイドセールスであれば、その時間をもっとお客さまの課題を引き出すことに使えると考え、志望しました。訪問がない分、電話やオンラインだけで信頼を作る難しさがあることは理解しています。(現在)
法人営業で培った、相手の意思決定プロセスを読む力を活かしながら、まずは早く数字で信頼を作りたいと考えています。(未来)」
なぜ効くか:法人営業からインサイドセールスへの転職では、「訪問前提の営業から、なぜ電話・オンライン中心の仕事に変えるのか」が必ず聞かれます。ここを「訪問が大変だから」で終わらせず、法人営業で培った力(決裁者への意識・稟議への理解)をどう転用するかまで言えると、経験が生きた志望動機になります。同じ「法人営業」でも、ターゲットがニッチな業界に偏っていた方は、その専門性がそのまま活きる場合と、逆に一から商材理解が必要になる場合があります。どちらのケースかを自分で整理してから面接に臨んでください。
面接で確認される「環境のリアル」
ギャップを埋める場である以上、採る側は、あえて厳しい部分を見せにいきます。とくに、数字の結果にフルコミットする営業組織は、日々の動き方がはっきり決まっていることが多いです。
私がいた組織は、こういう1日でした。
- 朝礼で、その日のコミットメント(やり切る数字)を全員が口に出す
- 中礼で、前半戦の戦い方を確認する
- 終礼で、その日を振り返り、翌日の組み立てをする
これを聞いて、「いいですね」と思う方と、「しんどそうだな」と思う方に、はっきり分かれます。
とくにこれまで個人で動いてきた営業の方には、この動き方がストレスになることがあります。逆に、チームで動くことを大事にしてきた方には、これがハマる。どちらが良い悪いではなく、合うか合わないかです。
だから面接では、そういう話を意図的にします。「本当にこの環境でも大丈夫か」を、一緒に確認しているわけです。ここで顔が曇る方は、たぶん続きません。それはお互いに不幸なので、隠しません。
惰性でやろうと思えば、やれてしまう。だから覚悟を見ています
正直に言います。インサイドセールスは、形だけなら惰性でもやれてしまう仕事です。
出社して、電話して、お昼を食べて、またパソコンの前に座って、電話して、休憩して、電話して、帰る。これでも、1日は終わります。
もちろん、惰性でやっていれば怒られます。給料が出ている以上、当然です。ですが、怒られたからといって、その人が変わるとは限りません。惰性で過ごした1年と、毎日改善を積み上げた1年では、まったく違う場所に着きます。
だから私は、惰性でやる人を絶対に増やしたくありませんでした。もちろん、それは上司や責任者の力量の問題でもあります。組織側の責任です。ですが同時に、面接の段階で「取り組む姿勢」を精査するのも、私の仕事でした。
ここでお伝えしたいのは、裏返しの話です。「惰性でもできてしまう仕事だと分かっている。だからこそ、自分で目標を決めて動きたい」。もしそういう言い方ができたら、めちゃくちゃ刺さります。 採る側が求めているのは、まさにその姿勢だからです。
実は、面接そのものが「聞く力」の実演です
ここが、いちばん伝えたいことです。
インサイドセールスの面接では、あなたが話している内容だけを見ているわけではありません。面接という場での振る舞いそのものが、仕事ぶりの実演になっています。
- 質問の意図を汲み取って答えているか(=ヒアリング力)
- 聞かれていないことまで喋り続けていないか(=相手のペースを見ているか)
- こちらの反応を見ながら、話す量を調整しているか
用意してきた志望動機を一言一句そのまま喋りきる方がいます。熱意は伝わります。でも採る側は、こう思ってしまうんです。「この人、お客さんにも同じことをするんだろうな」と。
逆に、短く答えて、こちらの反応を見て、必要なら足す。これができる人は、それだけで「あ、この人は聞ける人だ」と伝わります。内容より、その所作のほうが雄弁です。
逆質問は「厳しさを聞く」のが一番いい
「最後に質問はありますか」。ここも見られています。
おすすめは、厳しい部分を自分から聞くことです。
- 「この仕事で、いちばん大変なのはどういう場面ですか」
- 「早期に辞めてしまう方には、どんな共通点がありますか」
- 「入社してすぐの3か月で、何ができていれば順調と言えますか」
これを聞かれると、採る側は「この人は本気で続けるつもりで来ているな」と受け取ります。福利厚生の話から入るより、ずっと印象に残ります。
そして実利もあります。大変な部分を先に聞いておけば、入社後のギャップが減る。あなた自身を守ることにもなります。
会うハードルは低い。でも、精査はします
最後に、採る側の実像をそのまま書きます。
会うハードルは、低いです。 営業、とくにインサイドセールスは常に人が足りていません。応募していただけた時点で、こちらからすれば宝です。だから、まず会おうとします。
でも、精査はします。 ここまで書いてきたとおり、ギャップを残したまま入社してもらっても、お互い不幸になるからです。
では、何を基準に見ているのか。3つです。
- その人の考え方
- これまでの経歴(結果だけでなく、PDCAを回せてきたか)
- 当事者意識があるか
そして、ここが大事なところです。今、当事者意識がなくても構いません。
「これから当事者意識を持って取り組んでくれそうか」。私が見ていたのは、そこでした。過去に立派な実績がなくても、これからの話を、自分のストーリーとして語れる人は強いです。
面接で完璧に見せる必要はありません。「厳しさを分かった上で来ている」「聞く姿勢がある」「これから自分で回していく気がある」。この3つが伝われば、それで十分です。
実際、私が採ってきたのも、そういう方たちでした。
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※出典を記載した部分は、その媒体の見解・一般的な傾向です。出典のない部分と本文中の例文は、筆者が約70名の営業組織を管理してきた中での実感をもとにした例であり、統計や実在の回答ではありません。面接の内容や評価基準は、企業・職種・面接官によって変わります。
この記事を書いた人
営業ひとすじ20年。電話営業・インサイドセールスの現場から始まり、約70名の営業組織のマネジメントを経験。採用面接にも数百人単位で関わってきました。「辞めて正解だった人」も「辞めなくてよかった人」も見てきた立場から、テレアポ・インサイドセールス・営業職の次のキャリアについて、きれいごとではない話を書いています。


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