面接が終わって、廊下に出た瞬間のことです。
私はまだその場にいました。別の用事で、すぐに席を離れられなかったんです。
応募者の方は気づいていませんでした。廊下を歩きながら、同席していた友人に電話をかけました。「終わった。なんか微妙やった。あの会社、ちょっとないわ」。
その声は、はっきり聞こえました。
翌日、私はその方に見送りの連絡を入れました。面接の評価ではなく、廊下での発言が決め手でした。
採用担当は、面接の外を見ています
転職活動をしている方に、ひとつだけ知っておいてほしいことがあります。
採用担当が見ているのは、面接室の中だけではありません。
受付に来た瞬間、エレベーターを待っている間、廊下を歩きながら話す声、帰り際のひと言。そういう場所でも、誰かに見られている可能性があります。
これはたまたまではなく、意識してそうしている採用担当もいます。なぜなら、面接室の中での振る舞いだけでは、その人のことが分からないからです。
なぜ面接だけでは分からないのか
面接を受ける方は、当然ながら「一番よく見せようとしている状態」で来ます。それは正しいことです。問題ではありません。
ただ、採用する側が知りたいのは、よく見せようとしていない時の姿です。
私が約70名の営業組織を預かっていた時、いつも考えていたのはこのことでした。この人は、誰も見ていない時にどういう行動をする人なのか。
面接で「チームのために動ける人間です」と言う人は多い。でも、廊下で「あの会社ないわ」と言える人は、入社後に社内で何を言うかは想像がつきます。
20年見てきて、これは高確率で当たります。
実際に見られている場面
どこで見られているか、具体的に書きます。
受付での対応
受付の担当者に対する態度です。面接官に対しては誰でも丁寧にします。でも、受付のスタッフに対してはどうか。ここに本性が出ます。受付担当から採用担当に「さっきの方、ちょっと感じが」と伝わることは、珍しくありません。
待合室・エレベーター前
会社に入った瞬間から面接は始まっています。待合室でスマホを見ながら足を組んでいる方を、別の角度から見ていた採用担当の話は、私の周りでも何度か聞きました。
帰り際の言動
冒頭に書いた通りです。社外に出るまでは、まだ敷地内にいると思ってください。建物を出てからも、近くにいる可能性があります。
同席者がいる場合
転職エージェントの方と一緒に来た場合、待合室での会話が聞こえることがあります。緊張が解けた瞬間に、正直なことを言ってしまう方は多いです。
対策は、取り繕うことではありません
ここまで読んで、「じゃあ建物を出るまで気を張らないといけないのか」と思った方がいるかもしれません。
それは、少し違います。
気を張っていても、長くは続きません。 廊下で本音が出る人は、緊張が解けた瞬間にそれが出るからです。取り繕っても、どこかで必ず崩れます。
本当の対策は、会社に対してネガティブな感情が残ったままで面接に来ないことです。
応募するということは、その会社で働きたいという意思があるはずです。であれば、会社に対して「ちょっとないわ」と思いながら来ている状態は、そもそもおかしい。
もし面接に来る前の段階で強いネガティブ感情があるなら、応募先を見直した方がいいかもしれません。無理に受けに行っても、廊下で出ます。
採用する側が、本当に怖いもの
最後に、採用担当として正直に話します。
採用でいちばん怖いのは、ネガティブな感情が社内に広がることです。
一人の不満が、休憩室や廊下での会話を通じて周りの数人に伝染する。70名を預かっていると、これが本当に起きます。一人が「あの上司ないわ」と言い続けると、半年後にはその周りの3人が同じことを言っています。
だから採用担当は、面接の外を見ます。面接の時間ではなく、気が緩んだ瞬間を見たいのです。
それが採用の本音です。
転職活動をしている方に伝えたいのは、「バレないようにしろ」ではありません。本当に行きたい会社を受けてほしいということです。そうであれば、廊下でネガティブなことは言わないはずです。
もう一つ、話します
私が面接でやっていたことが、もう一つあります。
面接の冒頭に、意図的に場を和らげることです。雑談でもなんでもいい。少しリラックスしてもらってから、本題に入ります。
理由は、緊張状態の人を見ても、その人のことが分からないからです。準備してきた答えを順番に話してもらうだけになってしまう。それよりも、少し気が緩んだ状態の方が、本音が出やすい。質問への反応、言葉の選び方、予期しない話題への対応。そういうところに、その人らしさが出てきます。
「面接」だと思っているのは、応募者だけです。採用担当は、もっと広い場面を見ています。
うまくいかない時こそ、本性が出ます
これは面接の話であり、仕事の話であり、人生全体の話でもあります。
成績が出ている時、うまくいっている時は、誰でもある程度いい顔ができます。分かれ目は、うまくいかない時です。架電しても全然取れない日が続いた時、理不尽なクレームを受けた時、思ったより評価が低かった時。そこでどういう言動をとるか。採用担当は、そこを見ています。
仕事の時だけ、面接の時だけ、誰かに見られている時だけ、振る舞いを変えることは長くは続きません。日頃からどう行動するかの積み重ねが、結局、面接の廊下でも出てきます。
これは採用担当として見てきた、正直な実感です。
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※廊下での発言に関する事例は、筆者が約70名の営業組織を管理してきた中での実体験です。すべての採用担当が同様の確認をしているわけではありません。採用基準・評価方法は企業・職種・面接官によって異なります。
この記事を書いた人
営業ひとすじ20年。電話営業・インサイドセールスの現場から始まり、約70名の営業組織のマネジメントを経験。採用面接にも数百人単位で関わってきました。「辞めて正解だった人」も「辞めなくてよかった人」も見てきた立場から、テレアポ・インサイドセールス・営業職の次のキャリアについて、きれいごとではない話を書いています。


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