インサイドセールスへの転職前に確認しておくこと。採用にも関わってきた営業管理職が書く。

インサイドセールスへの転職前に確認しておくこと。採用にも関わってきた営業管理職が書く。 営業・テレアポからの転職

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インサイドセールスへの転職を考えているテレアポ経験者や、営業職からのキャリアチェンジを検討している人が、転職活動を始める前に確認しておいたほうがいいことを書きます。

採用にも関わってきた営業管理職の立場から書いていますが、「こうすれば必ず転職できる」という話ではありません。入社してから「思っていたのと違った」と感じる人が実際にいます。その多くは、転職前に確認できることを確認しないまま入社していました。ただし、確認しても伝わらないことがある、という話もこの記事の後半に書きます。

インサイドセールスは会社によって「中身」が全然違う

「インサイドセールス(IS)」という言葉は、今は多くの求人票に載っています。ただし、同じ「インサイドセールス」という肩書きでも、会社によってやっていることがまったく異なります。

極端な例を挙げると、こういうパターンがあります。

  • リストを渡されて1日中コールして、アポを取る仕事(テレアポとほぼ同じ)
  • マーケティングが獲得したリードを、商談前まで温める仕事(SDR・BDR型)
  • フィールドセールスが取ってきた案件を、電話・オンラインでクロージングまでやる仕事(クローザー型)
  • 新規開拓からクロージングまで、すべて非対面でやり切る仕事(フルサイクル型)

同じ求人票の「インサイドセールス」でも、アポ取り特化の仕事と、商談からクロージングまでやる仕事では、求められるスキルも、KPIも、評価のされ方も全部違います。

転職活動中に「IS経験を活かしたい」「ISに転職したい」と言う人の中に、入社後に「これはテレアポとほとんど変わらない」「想像と違った」となる人が一定数います。確認しないままだと、ミスマッチが起きやすいのがISという職種です。

確認すべき「5つの中身」

面接や求人票から事前に確認しておきたいことを、順番に書きます。

1. 「何をゴールとする役割か」を聞く

IS求人に応募したら、面接のどこかで必ず聞いてほしいのが、「御社のインサイドセールスは、どこがゴールですか」です。

アポ獲得をゴールとしているのか、商談化(SQL化)をゴールとしているのか、受注までをゴールとしているのか。これがはっきりしていない会社は、現場でもゴールがあいまいなまま動いています。

「そこまで聞いていいのか」と思う人もいますが、採用する側としては、ここを確認する候補者の方が信頼感があります。「自分がどこまでやる仕事なのかを理解しようとしている」と映るからです。逆に何も確認せずに入社すると、あとで「聞いておけばよかった」になります。

「御社のゴールはどこですか」と聞いて終わりではありません。面接官から「うちのISはSQL化をゴールにしています」と答えが返ってきたとき、「SQLとはどういう定義ですか」「そのSQL化率はどのくらいで、どう評価されますか」まで聞ける候補者は、採用担当から見て「この人は実際に仕事のことを考えている」と感じます。その場しのぎの確認ではなく、入社後の自分を想像できている人の質問は、会話の流れが自然に深くなります。

2. フィールドセールスとの役割の切り分けを確認する

ISが存在する会社では、多くの場合、フィールドセールス(FS)や営業担当と役割を分担しています。ただし、その「切り分け方」は会社によってまちまちです。

ISが「アポを取ってFSに渡すだけ」の構造の場合、アポを取った後の結果(商談が進んだか・失注したか)がISに見えにくくなっています。自分の仕事がどう繋がっているかを実感しにくい環境です。

一方、ISがSQLを定義してFSに渡す・失注した案件のフィードバックをISに戻す仕組みがある会社では、ISが商談全体に関われます。どちらがいい悪いではなく、自分がどちらの環境で働きたいかを確認しておくことが大事です。

確認の仕方としては、「ISからFSに商談を渡した後、結果のフィードバックはありますか」と聞くのがシンプルです。この質問に対して、具体的に答えられる会社は、ISとFSの連携を設計しています。答えが「それはFSが管理しています」「ISには共有されません」という会社は、ISが商談の結果を見えない構造になっています。

3. KPIが何で、どう評価されるか

IS職のKPIは、架電数・アポ率・商談化数・受注数・受注金額・顧客維持率など、役割によってさまざまです。入社前に「どの数字を追う仕事か」を確認しておかないと、評価の基準がわからないまま動くことになります。

特に気をつけたいのは、「チームKPI」か「個人KPI」かです。チームKPIしかない環境では、個人としての達成感が見えにくく、評価が曖昧になります。一方で個人KPIが細かく設定されている環境は、プレッシャーが高い反面、自分の成長が数字で見やすいです。

また、「KPIの達成率に応じたインセンティブがあるか」も確認しておくといいです。IS職はテレアポと比べてインセンティブが少ない会社も多い傾向があり、固定給中心になることがあります。これが合う人と合わない人がいます。

「KPIはどのような指標ですか」と聞いたとき、「架電数とアポ率です」と答える会社と、「商談化数とパイプライン金額で見ています」と答える会社では、入社後の仕事の内容がかなり異なります。求人票には書いてないことが多いので、面接で直接確認するのが確実です。

4. マーケティングとの連携がある会社か

ISの仕事は、「どこからリードが来るか」で大きく変わります。

マーケティング部門が広告・SEO・ウェビナー・展示会などでリードを獲得し、それをISが受け取る形の会社では、ISの架電先が「何らかの形で接触があった人」になります。一方、マーケティングが機能していない会社や、リスト購入・名刺スキャン頼みの会社では、ISが実質的にコールドリスト相手のテレアポになります。

求人票には書いてありませんが、面接で「ISへのリードはどこから来ていますか」と聞けばわかります。「マーケティングからインバウンドリードを受け取っています」という会社と、「既存のリストをベースに架電しています」という会社では、入社後の仕事の内容がかなり違います。

「マーケティングとはどういう連携をしていますか」という質問に対して、「ウェビナーの参加者をISが翌日にフォローしています」「展示会のリードをスコアリングしてからISに渡しています」といった具体的な回答ができる会社は、マーケティングとISの連携が実際に機能しています。「マーケティングとは連携しています」という答えだけで終わった場合は、仕組みがあいまいな可能性があります。

5. ISのキャリアパスが社内にあるか

「ISとして経験を積んだ後、どうなれるか」を確認しておくことも大事です。

IS職を置いている会社の中には、「ISはあくまで入口で、成果を出したらFSやAEに異動できる」という設計をしている会社があります。一方で、IS専任のまま異動ルートがない会社もあります。

「IS職をずっとやり続けたい」という人には関係ありませんが、「IS経験を積んだ後にフィールドや別の役割に挑戦したい」と思っている人は、キャリアパスが設計されているかを入社前に確認するべきです。

面接では「ISのご経験者が、その後どういったポジションに移っている事例がありますか」と聞くのが自然です。「実績がある人はFSに異動しています」と具体的に答えられる会社は、ルートが整っています。「人によります」「今のところIS専任です」という答えは、ルートが設計されていないサインの場合があります。

テレアポとISは「近いようで別の仕事」だという話

テレアポからISに転職する人は多いです。「テレアポの経験を活かせる」「電話ができるなら問題ない」と思っている人もいます。

ある部分ではそうです。架電に慣れている・断られることに慣れている・声のトーンや会話のテンポを意識できる、といった点はISでも活きます。

ただし、テレアポとISで求められるものが違う部分もあります。

テレアポは、「アポが取れたかどうか」がほぼ唯一の評価軸です。短い会話の中で興味を引き、アポを取ることに特化しています。架電数・接触率・アポ率で評価される環境が多い傾向があります。

ISは、商談フェーズに応じた関わり方が求められる場合があります。リードの状況を理解して、温め方を変える。ナーチャリングの文脈でメールも使う。商談前のやり取りを通じて、相手がどんな課題を持っているかを把握する。こういった仕事が入ってきます。

「電話で話せれば大丈夫」だと思って入社した後、「テレアポとやっていることが全然違う」と感じることもあります。得意なことは活きますが、テレアポとISは別の仕事だという前提で転職活動をした方が、入社後のギャップが少ないです。

確認しても、伝わらないことがある

面接で5つの確認事項を全部聞いても、入社後にギャップを感じることはあります。これは正直に書いておきます。

アウトバウンド営業には、独特な空気感があります。クレームを言われる。断られる。架電件数を取らなければならない。件数が取れなかったら上司に言われる。詰められることもある。この循環は、面接の場ではほとんど伝わりません。

特にアウトバウンド未経験でISに転職する人は、この「空気感」を知らないまま入社することが多いです。面接でどれだけ確認しても、実際にその場に立ってみないとわからない部分があります。「思っていたのと違った」でやめていく人の中には、職種の内容ではなくこの空気感に慣れられなかったというケースがあります。

ではこの空気感の中でも続けられる人は何が違うのか。採用する側として見ていると、毎日PDCAを回せる人・目標から逆算して考えられる人は、この環境でも動き続けます。「今日は何件でダメだった、だからこうする」という小さな改善を、誰に言われなくても繰り返せる人です。逆に、「やり方を教えてもらえれば動ける」という受け身のスタンスの人は、プレッシャーが高い環境では止まりやすいです。

これが「IS転職に向いているかどうか」の、求人票や面接では確認しにくい部分です。

「IS経験あり」で転職市場での評価はどう変わるか

IS経験者の転職市場での評価は、変わってきています。

10年以上前は、「インサイドセールス」という職種名は今ほど普及していませんでした。電話での営業は「テレアポ」「コールセンター」としてまとめられ、転職市場での評価が高いとは言えませんでした。

今はSaaSやIT系を中心に、IS専任のポジションを設けている会社が増えている実感があります。特に「SDR/BDR経験」「CRM/SFAを使ったIS経験」「マーケティングと連携したIS経験」を持っている人は、IT・SaaS業界での転職で評価が変わってきています。

ただし、「IS経験あり」と言っても、どんなIS経験かによって評価は変わります。「架電メインで内容はテレアポと変わらない」と判断されると、IS職としての評価が高くならない場合があります。一方で、「リードナーチャリング・商談化・CRM活用のIS経験」は、SaaS系企業への転職で評価されやすいです。

転職活動で「IS経験あり」を武器にするなら、自分のIS経験が「どの部分の仕事だったか」を具体的に言語化しておく必要があります。「ISをやっていました」だけでは評価されません。

採用担当として見ていた「IS転職で成功しやすい人」の共通点

IS職の採用に関わった経験から、「IS転職後に定着して成果を出す人」にある共通点を書きます。

一つ目は、「自分の成果と役割の範囲の関係を整理できている人」です。

IS職は、成果が「受注」ではなく「アポ化」や「商談化」になることが多いです。「自分がアポを取ったのに受注しなかった」「受注したのに自分の評価には繋がらなかった」という感覚を持つことがあります。

この構造を事前に理解していて、「自分の役割範囲での最大化を目指す」という視点を持っている人は、IS職に向いています。「受注まで自分でやらないと実感が持てない」という人は、フルサイクル型のISかFSの方が合うことがあります。

二つ目は、「改善を数字で考えられる人」です。

IS職では、架電数・接触率・アポ化率・商談化率・失注率など、プロセスを数字で追うことが多いです。「何件電話したか」だけでなく、「どこで止まっているか」を自分で分析できる人は、IS職で伸びやすいです。

テレアポの経験がある人の中には、「とにかく数を打つ」が習慣になっている人がいます。これはIS職でも使える部分ですが、「数を打つだけ」では評価されにくい環境もあります。プロセスの改善に関心がある人がIS転職後に活躍しやすいです。

三つ目は、「なぜこの仕事をするのかが明確な人」です。

アウトバウンド営業はきつい仕事です。クレームを言われる・件数プレッシャーがある・うまくいかない日が続く。この中で動き続けられる人の共通点として、「働く理由が明確である」ということがあります。

独立志向がある・お金を貯めたい目標がある・役職を上げたい具体的な理由がある・プライベートでこうしたいという目標がある。理由の中身は人それぞれですが、「何のためにこの仕事をするのか」が自分の中にある人は、しんどい時期でも踏ん張れます。「なんとなく転職したい・ISという名前に魅力を感じた」という動機だけでは、プレッシャーがかかったときに止まりやすいです。

面接の場でこの理由を話せる人は、採用する側から見ても「この人は続けられる」という安心感があります。スキルや経験と同じくらい、「なぜやるのか」が判断に影響します。

面接での質問は、「なぜそれを聞くのか」まで言えるかどうか

この記事で書いてきたような「ゴールは何か」「KPIは何か」「マーケティングとの連携は」という質問を、面接で実際にする人がいます。

採用担当として感じるのは、質問の内容よりも「なぜその質問をするのか」が大事だということです。

情報として「こういう質問をしましょう」を得て、とりあえずそれを聞いてみた、という質問は、会話の流れでわかります。「なんとなく確認しておきました」という雰囲気が出ます。これはバレています。

採用担当が「この候補者は違うな」と感じるのは、質問への回答に対して、さらに自分の考えを言える場面です。「御社のKPIはアポ率ですね」と確認した後、「架電数とアポ率のどちらに比重が置かれていますか」「アポ率が下がった場合、まずどこを改善するのが御社のスタンスですか」まで聞いてくる人は、自分で入社後を考えています。そこからさらに深掘りされても、自分の意見が言える人は、採用担当として記憶に残ります。

面接の準備として「これを聞こう」というリストを作ることはいいことです。ただ、そのリストを消化することが目的にならないよう、「なぜこれを聞くのか」を自分の言葉で言えるかどうかを確認してから面接に臨む方がいいです。

まとめ

インサイドセールスへの転職前に確認しておきたいことを5つ書きました。

  1. その会社のISが「何をゴールとする役割か」を聞く
  2. FSとの役割の切り分け・フィードバックの仕組みを確認する
  3. KPIが何で、個人評価とどう繋がっているかを確認する
  4. マーケティングからリードが来る仕組みがあるかを確認する
  5. ISのキャリアパスが社内に設計されているかを確認する

加えて、確認しても伝わらないことがあるという話と、面接での質問の質について書きました。

転職先を選ぶ際に「インサイドセールス」という肩書きだけで判断すると、入社後に「思っていたのと違った」になりやすいです。中身を確認してから判断することで、転職後のミスマッチは減らせます。

「IS転職の面接で、これを聞いても失礼にならないか」という心配をする人がいます。職種への理解度を確認しようとしている質問は、採用担当から見て失礼には映りません。むしろ、何も確認せずに入社する候補者より、自分が何をする仕事なのかを理解しようとしている候補者の方が、採用する側としては信頼感があります。

IS転職の選択肢について、別の記事で詳しく書いています。

筆者:ふふ(上場企業の営業管理職・営業歴20年・インサイドセールスの組織立ち上げに関わった経験あり)。本記事は特定の会社・サービスの評価を保証するものではありません。転職の判断は各自の責任でお願いします。

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