半年でプレイヤーから課長になりました。数字は作れても、教えるのは別の才能でした。

半年でプレイヤーから課長になりました。数字は作れても、教えるのは別の才能でした。 営業・テレアポからの転職

半年でプレイヤーから課長になりました。数字は作れても、教えるのはまったく別の才能でした。私は営業ひとすじ20年、約70名の営業組織をマネジメントしてきました。今日は、その管理職キャリアの出発点にあった経験を書きます。管理職を目指すかどうか迷っている方、あるいは初めて部下を持つことになった方に、少しでも参考になればと思います。

半年で課長、1年後に部長でした

私が管理職になったきっかけは、インサイドセールスのチームを立ち上げるタイミングで中途入社したことでした。最初は一人のプレイヤーとしてのスタートでした。入った会社は年に2回の評価制度で、そのうちの1回で評価が上がり、入社から半年で課長に就任しました。その後、評価制度が年1回に変わったのですが、そこからさらに1年後には部長まで昇格しています。振り返ると、かなり早いスピードでの昇格でした。

なぜこの打診があったのか。自分なりに解釈すると、「この人にチームを任せたら数字を作ってくれそうだ」「売上を上げてくれそうだ」と会社が判断し、投資してくれたのだと思っています。管理職への打診というのは、多くの場合、派手な理由があるわけではありません。日々の数字と、そこから見える再現性への期待。それが積み重なった結果として、ある日声がかかる。そういうものだと思います。

課長から部長になって、見える景色が変わりました

課長から部長になったとき、求められる視点がもう一段階変わったことを感じました。課長のときは、自分のチームの数字をどう作るかが中心でした。部長になると、複数のチームを横断して見る必要が出てきます。あるチームがうまくいっている理由を、別のチームにどう横展開するか。逆に、うまくいっていないチームの根本原因が、リーダーの力量なのか、担当エリアの問題なのか、メンバー構成の問題なのかを切り分けて見る力が求められました。

この視座の変化は、自分一人のプレイヤーとしての力とは、まったく別の能力です。課長時代にプレイングマネージャーとして数字を作り続けていた経験は、部長になってからは直接的にはあまり使いませんでした。むしろ、現場を離れて全体を俯瞰する視点に切り替える必要があり、最初は戸惑いもありました。役職が一つ上がるごとに、前のポジションで培った強みだけでは足りなくなる。この感覚は、管理職を続ける中で何度も味わいました。

プレイングマネージャーは、想像以上にきつかったです

課長になってから、私はプレイングマネージャーとして動いていました。自分自身の予算もあり、同時にチーム全体の予算もある。両方を背負う立場です。求められる数字のハードルも、プレイヤー時代より格段に高くなりました。正直に言って、心身ともにかなりきつかったです。

あの頃は、頭を使いすぎてハゲそうになるくらい、毎日考え続けていました。1日のスケジューリング、優先順位づけ、細かいタスクの洗い出し。それを毎日、自分の分とチームの分と両方組み立てていました。今振り返れば、あの期間があったから今の自分があると思っていますし、意味のある時間だったとも思っています。ただ、渦中にいたときは、そんな余裕はまったくありませんでした。

プレイングマネージャーというポジションは、多くの会社で「プレイヤーの延長線上」として扱われがちです。ですが実際には、プレイヤーとしての責任とマネージャーとしての責任が、単純に足し算されるわけではありません。片方の判断がもう片方に影響し、時間の奪い合いが常に起きます。自分の商談を優先すべきか、部下の同行を優先すべきか。この判断を毎日、何度も迫られる立場でした。

特に苦しかったのは、自分の数字が落ちているときに、部下の指導に時間を割かなければならない場面です。頭では部下の育成が中長期的にチーム全体の数字を押し上げると分かっていても、目の前の自分の数字が未達だと、焦りが先に立ちます。逆に、部下の様子がおかしいと分かっていても、自分の商談を優先せざるを得ない日もありました。どちらを優先しても、もう一方に罪悪感が残る。この綱引きは、プレイヤー時代には経験したことのない種類のストレスでした。

数字を作れることと、教えられることは別物でした

管理職になって一番戸惑ったのは、ここです。自分は数字を作れる。しかし、部下は数字を作れない人の方が多い。特に営業が初めての人ほど、その傾向は強くありました。

営業経験がまったくない新人もいれば、他業種から転職してきたばかりの中途社員もいます。同じ「数字が作れない」という状態でも、原因はまったく違いました。新人は営業という仕事そのものへの理解が浅く、何をどう頑張ればいいのかが分かっていません。一方、他業種からの転職者は、前職での成功体験を引きずっていて、営業特有のやり方に切り替えられずにいることが多くありました。同じ指導をしても効果が違うのは当然で、まず相手がどちらのタイプなのかを見極めるところから始める必要がありました。

最初は、自分がやってきたやり方をそのまま伝えれば、部下も同じように結果を出せるだろうと考えていました。しかし実際には、そう簡単にはいきません。営業として結果を出すためのマインドセットそのものから、教え込んでいく必要がありました。思っていた以上に「やれない」という子ばかりだったのです。これは能力の問題というより、営業という仕事の捉え方、向き合い方が、まだ自分の中にできあがっていない、という状態でした。

ここで気づいたのは、伝え方を変える必要があるということです。自分にとっては当たり前の感覚も、経験のない相手にはまったく伝わりません。だから、幼稚園児にでも伝わるくらい、噛み砕いた話し方、伝え方を意識するようになりました。専門用語を使わない、一度に多くを詰め込まない、抽象的な精神論ではなく具体的な行動に落とし込んで伝える。プレイヤーとして優秀であることと、管理職として教えられることは、まったく別のスキルセットだと痛感した時期でした。

「教える才能」は、後から鍛えられます

ここで一つ、誤解しないでほしいことがあります。教える才能が最初からある人と、ない人がいるわけではありません。少なくとも私自身は、最初から上手に教えられたわけではありませんでした。伝わらない、動いてくれない、成果が出ない。その繰り返しの中で、少しずつ「どう言えば伝わるか」を試行錯誤して身につけていきました。

試行錯誤の具体例を挙げると、最初の頃は「なぜこの順番でお客様にアプローチするのか」を、自分の頭の中にある感覚のまま伝えていました。当然、経験のない部下には伝わりません。そこで、感覚を言葉にする作業を始めました。なぜその順番なのか、その場面で何を見て判断しているのか、一つひとつ言語化していく。この作業は面倒でしたが、言語化する過程で自分自身の営業のやり方を見直すきっかけにもなりました。教えることは、自分の経験を棚卸しする機会でもあったのです。

コツがあるとすれば、部下一人ひとりの理解度に合わせて説明の粒度を変えることです。同じ内容を伝えるにしても、経験者には結論だけ、初心者には手順を一つずつ。この使い分けができるようになると、教える負担そのものが減っていきます。管理職になった直後にこれができる人はほとんどいません。時間をかけて身につけていくものだと思っておくと、気持ちが楽になります。

もう一つ意識していたのは、結果よりも先に行動を見ることです。数字だけを追いかけると、結果が出ていない部下に対してどうしても厳しい評価になりがちです。ですが、数字が出ていなくても、行動量や動き方が変わってきている部下は、確実に伸びる途中にいます。声のかけ方一つで、部下が「見てもらえている」と感じるか、「詰められている」と感じるかが変わります。数字だけでなく、その手前にある行動の変化を拾って言葉にする。これは、自分がプレイヤー時代に上司からされて嬉しかった声かけを思い出しながら、意識的にやっていたことです。

令和の時代だからこそ、管理職はチャンスだと思っています

最近、管理職を目指す人が減っているというニュースを見かけます。責任を負いたくないという理由が多いようです。その気持ちも分かります。実際、私自身プレイングマネージャーの時期は、責任の重さに押しつぶされそうになっていました。

それでも私は、だからこそ今はチャンスだと思っています。一般のプレイヤーとしてずっと働き続けるという選択肢も、もちろん間違いではありません。ただ、どうせ会社に所属して働くのであれば、上を目指してみようよ、というのが私の考えです。管理職を目指す人が減っている今だからこそ、手を挙げれば任される機会は相対的に増えています。社会的地位も所得も上がりますし、何より自分自身の成長につながります。きつい時期があるのは事実ですが、それを超えた先に見える景色は、プレイヤーのままでは見えなかったものです。チャレンジする価値は、十分にあると思っています。

「責任を負いたくない」という気持ちの裏側には、失敗したときに評価が下がることへの不安があると思います。ですが、実際に管理職としてやってみると、失敗そのものより「失敗したときにどう立て直すか」の方が、はるかに評価される場面が多いです。数字が未達だったとき、言い訳を並べる管理職と、原因を分析して次の打ち手を示す管理職とでは、周囲からの見え方がまったく違います。完璧を求められているわけではなく、動き続ける姿勢そのものが評価の対象になる。これは、実際にその立場に立ってみないと分からない感覚です。

管理職への転職・異動を考えている人へ

これから管理職を目指す方、あるいは管理職としての転職を考えている方に、実体験から伝えられることをまとめます。

まず、プレイングマネージャーというポジションを引き受ける場合は、自分の予算とチームの予算、両方の負荷を覚悟しておいてください。求人票には「マネジメント業務」としか書かれていないことが多いですが、実際には自分自身の数字も背負い続けるケースが大半です。面接の段階で、マネージャーになった後もプレイヤーとしての個人目標があるのか、あるとすればどの程度の比重なのかを確認しておくと、入社後のギャップを減らせます。

次に、部下に数字を作らせる力と、自分が数字を作る力は別のスキルだと最初から理解しておいてください。プレイヤーとして優秀だったからといって、教えることも自動的にうまくいくわけではありません。伝わらない、動いてくれないという壁にぶつかったとき、それは自分の能力不足ではなく、必要なスキルがまだ違う、というだけの話です。焦らず、伝え方を磨いていく姿勢を持ってください。

最後に、責任の重さに押しつぶされそうになる時期は、誰にでもあります。私自身、頭を使いすぎてハゲそうになるくらいの時期を経験しています。それでも続けられたのは、その先に見える成長と、任せてもらえたことへの手応えがあったからです。今きつい時期にいる方も、その経験は必ず後から意味を持ちます。

もし今、プレイヤーとして数字を出せているなら、それは管理職を目指すうえで大きな武器です。数字を出せる人が全員管理職に向いているわけではありませんが、少なくとも「自分ならどうやって数字を作るか」を語れる土台は持っています。あとは、それを他人に伝えられる言葉に変換していく練習を、今のうちから少しずつ始めてみてください。後輩に一つ教えてみる、新人の同行を買って出てみる。小さな指導経験の積み重ねが、いざ管理職を任されたときの土台になります。

よくある質問

Q. 管理職になるのが早すぎると、周囲から反発されませんか。
反発がまったくないとは言い切れません。ただ、周囲の反発を恐れて手を挙げないより、任された以上は結果で示す、という姿勢のほうが、結局は信頼につながります。数字という分かりやすい基準がある営業職では、結果を出し続けることが一番の説得力になります。

Q. 部下がなかなか成長してくれず、自分の教え方が悪いのではと悩んでいます。
私も同じように悩んだ時期がありました。伝わらないのは、教え方の問題であることも、部下自身の準備段階の問題であることも、両方あります。一つの伝え方でうまくいかなければ、粒度を変えて別の言い方を試してみてください。それでも変化が見えない場合は、時間をかけて見守ることも必要です。すぐに結果を求めすぎないことも、管理職としての大事な姿勢です。

Q. プレイングマネージャーが負担すぎて、管理職に自信が持てません。
プレイングマネージャーの負担は、会社によってかなり差があります。個人予算がほぼゼロに近い会社もあれば、私のようにプレイヤー時代とほぼ変わらない負荷を求められる会社もあります。転職や異動を考える際は、管理職になった後の個人目標の有無を、事前にしっかり確認することをおすすめします。

Q. 昇格のスピードが早すぎて、周りとの経験差に不安があります。
経験年数の差は、確かに最初のうちは気になります。ただ、管理職に求められるのは経験年数そのものより、目の前の部下やチームにどう向き合うかという姿勢です。経験が浅い分は、謙虚に周囲の意見を聞く姿勢でカバーできます。むしろ、経験が浅いうちに任された方が、変な自己流のクセがつく前に、素直に学べるという利点もあります。

最後に

半年でプレイヤーから課長になり、頭を使いすぎてハゲそうになるくらいの時期を過ごしました。数字を作れることと、それを部下に教えられることは、まったく別の才能です。それでも、管理職を目指す人が減っている今だからこそ、チャレンジする価値は大きいと思っています。社会的地位、所得、そして何より自分自身の成長。上を目指すという選択肢を、一度前向きに考えてみてほしいです。

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