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カスタマーハラスメント(カスハラ)対策が、2026年10月1日から事業主の法的な義務になった。
改正労働施策総合推進法の施行で、企業は従業員をカスハラから守る措置を取らなければならなくなった。
それでも、職場で何も変わっていないと感じている人は多いはずだ。
テレアポやコールセンター、インサイドセールスの現場で、理不尽な相手の電話を一人で受け続けている。上司に言っても「うまくあしらって」で終わる。録音はしているが、何に使うかは誰も説明してくれない。消耗して当然の状況で、「自分が弱いのかな」と思い込んでいる。
この記事では、カスハラで疲れ果てているときに見極めてほしいことを書く。
問題はあなたのストレス耐性ではなく、会社がどこまで守ってくれるかだ。
インバウンドの方が、アウトバウンドよりきつい理由
アウトバウンド(架電)は電話をかける側なので、ひどい罵声を受けたとしても「一度切れる」自由がある。かけ直さなければいい。関係はそこで止められる。
インバウンド(受電)はそれができない。
かかってきた電話は、受けなければならない。相手が誰か、何を求めているか分からないまま出る。対応が始まってから初めて、その人がどんな状態かを知る。
暴言が来ても、すぐには切れない。「お客様の声を聞くことが仕事」という前提で動いている現場がほとんどだからだ。長引けば長引くほど、精神的な負荷は積み上がる。
厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」では、カスハラの代表的な行為として次が挙げられている。
- 暴言・人格否定(「バカ」「ボケ」など)
- 長時間の電話拘束(通話を切らせない)
- 過剰な要求・同一クレームの繰り返し
- 脅迫(「訴える」「乗り込む」など)
このうちインバウンドは、4つすべてにさらされるリスクがある。アウトバウンドはかけ直さない選択肢で逃げられるが、受電側にそれはない。
「乗り込む」レベルの相手は、実際にいる
これは私の経験だ。
ある電話が3時間を超えた。最終的に「そっちに乗り込むぞ」「住所を調べてる」という言葉が出た。
内容の詳細は書けないが、当初は怒りの正当性があるかどうか判断できないくらい、感情的な要求が続いた。
結果的にどうなったかというと、その相手が自社のウェブサイトを自分で調べている最中に、カスタマーハラスメントに関する方針ページを見つけた。そこに書かれた内容を読んで、自分がしていることがカスハラに該当すると気づき、電話が収まった。
守られたのは、会社にカスハラ対策の方針と、それを外部に公開する仕組みがあったからだ。
私が個人として何かしたわけではない。会社の仕組みが機能した。
逆に言えば、その仕組みがなければ、あの3時間はどこにも着地しなかったかもしれない。
カスハラを受けた後に「辞めていいのか」という気持ちとどう向き合うかについては、コールセンターのカスハラで消耗したとき、辞めていいと気づくまでの話にも書いている。
カスハラ対策が「義務」になった。それでも何もしない会社がある
2025年6月に改正労働施策総合推進法が公布され、2026年10月1日から施行された。
事業主は、カスタマーハラスメントに関して雇用管理上必要な措置を取ることが義務になった。
具体的に義務として求められる措置の内容は、厚生労働省の指針(告示)で示されており、「カスハラ対策の方針策定・周知」「相談体制の整備」「被害を受けた労働者へのケア」などが事業主に求められる。企業に対して「従業員を守る体制を整えること」が法律上の要件として課されたことになる。
ただし、義務化されたからといって、すべての職場が一夜にして変わるわけではない。
特に中小企業や、電話営業を中心に回している現場では、「カスハラ対策を整備するリソースがない」という実態がある。法律で義務になっても、現場での対応は変わらないまま、従業員が消耗し続けるケースは少なくない。
大事なのは「法律で義務になった」という事実を知ることだ。
義務になった今、対策をしていない会社は法律の義務を果たしていない状態だ。あなたがその環境に耐え続ける必要はない。
会社の対応レベルを測る、4つの確認点
今の職場がどれくらい自分を守ってくれる環境かを、客観的に測る方法がある。次の4つを確認してほしい。
1. カスハラ対策の方針を外部に公開しているか
自社のウェブサイトやサービスページに、カスタマーハラスメントに関する方針を掲載しているかを確認する。
公開していることで、顧客側が自分の行為を振り返るきっかけになる。公開していない会社は、対策が「内部だけの話」になっている可能性が高い。
2. エスカレーションの手順が明確になっているか
担当者一人に対応を押しつけず、「上席に代わる」「別の担当者につなぐ」という手順が決まっているか。
「とにかく対応して」だけで、具体的な手順がないのは対策になっていない。手順があって初めて、現場が機能する。
3. 通話を終了させる権限が現場に与えられているか
暴言や脅迫が続いた場合に、担当者がいつでも通話を終了させてよいか。
「上司の判断がなければ切れない」という構造になっている職場は、現場を守る意思が薄い。通話終了の権限を現場担当者にも与えている会社かどうかを確認する。
4. 被害を記録・報告する仕組みがあるか
受けた暴言や脅迫の内容を記録し、組織として把握する仕組みがあるか。
個人が一人で抱えておわりになる職場は、データとして被害が積み上がらず、改善されない。記録する仕組みがある職場は、少なくとも「問題として認識している」ということだ。
守ってくれない職場の特徴
上の4つを確認してみて、「何もない」「聞いたことがない」という職場は、次のような特徴を持つことが多い。
「お客様は神様」という言葉が、対策しないことの言い訳になっている
「どんな要求にも応えるのがプロ」「クレームを受けてこそ成長できる」という文化が根強い職場は、カスハラと正当なクレームの区別をしないまま、現場に耐えさせる。カスハラは越えてはいけない一線だが、その線を誰も引かない。
上司が対応の責任を現場に押しつける
「うまくやって」「お前が怒らせたんじゃないか」という反応が返ってくる職場は、カスハラを個人の力量の問題として扱っている。会社として対応するという発想がない。
被害を言いにくい空気がある
「言っても変わらない」「弱いと思われる」という空気が職場にある限り、被害は個人の中に積み上がり続ける。カスハラを受けたことを上司や組織に伝えにくい雰囲気は、対策が機能しない職場に共通している。
転職先でカスハラ環境を見極める方法
テレアポやコールセンターから転職を考えているなら、転職先でも同じ環境になるリスクを減らすための確認が重要だ。
求人票の確認ポイント
「コンプライアンス重視」「ハラスメント対策」という記載があるかどうかは、最低限の確認材料になる。ただし書いてあるだけで何もしていないケースもあるため、面接で確認することが必要だ。
面接で聞ける質問
「カスタマーハラスメントへの対応方針を教えていただけますか」という質問は、面接で聞いていい。回答が曖昧だったり、「そういったことはほとんどない」という返しがくる場合は、整備されていない可能性がある。整備されている会社は、きちんと説明できる。
インバウンドの比率を確認する
インサイドセールスや営業職でも、受電が主体なのか架電が主体なのかで、カスハラのリスク構造が変わる。業務内容の説明の中で、インバウンドの比率と、その場合の対応フローを確認しておく。
疲れているなら、判断する前に一度見てほしいこと
カスハラで消耗しているときは、「このまま続けるか、辞めるか」という二択で考えがちだ。
でも実際には、「今の会社に残るかどうか」と「テレアポ・コールセンターの仕事を続けるかどうか」は別の問いだ。
環境が変われば、同じ仕事が全く違う体験になることがある。
カスハラ対策が機能していて、上司がエスカレーションに動いて、現場に通話終了の権限がある職場で同じ仕事をしたとき、疲弊の感じ方は大きく変わる。
判断する前に、今の職場が義務化された対策を取っているかどうかを、一度確認してほしい。
確認した上で「何もない」とわかったなら、転職を考えることは正しい判断だ。
営業歴20年・約70名のチームをマネジメントしてきた経験から言うと、消耗している人のほとんどは「自分が弱い」と思い込んでいるが、実際は環境の問題であることが多い。
あなたが消耗しているのは、あなたが弱いからではない。
転職相談ができるサービス
カスハラに疲れて転職を考えているなら、電話・訪問不要でオンラインで相談できる転職エージェントが動きやすい。テレアポ・コールセンター・インサイドセールス経験者の転職に実績があるサービスを2つ紹介する。
UZUZ(ウズウズ)
第二新卒・20代の転職に強い転職エージェント。個別面談でじっくり相談できる。完全無料。
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マーキャリNEXT CAREER
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どちらも登録だけして、話を聞いてみるだけでも使える。疲弊したままでいるより、動いた方が判断材料が増える。
出典:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」/「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」(2025年6月公布・2026年10月1日施行)

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