予算とチームの板挟みで、一度組織を潰しました。管理職として、そこから学んだことを書きます。

予算とチームの板挟みで、一度組織を潰しました。管理職として、そこから学んだことを書きます。 コラム

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管理職には、上からの重さと、下からの重さが同時にのしかかる瞬間があります。上からは、予算を必ず達成させるという重さ。下からは、メンバー一人ひとりに数字を上げてもらわないといけないという重さです。この板挟みの中で、自分は一度、組織を潰してしまったことがあります。

今日は、その話を書きます。

予算は、必ず達成に導かないといけません

管理職の仕事は、予算を達成に導くことです。メンバーにはそれぞれ個別の評価があるので、一人ひとりに数字を上げてもらわないといけません。ここまでは、誰でも分かる話だと思います。

ただ、現実はそう単純には進みません。思うようにいかない理由は、いつも一つではないからです。

思うようにいかない理由は、たいていイレギュラーです

クライアントの案件が、突然飛んでしまう。決まりかけていた話が、なくなってしまう。担当していたメンバーが、辞めてしまう。逆に自分自身が研修に入らなければならなくなり、現場から離れてしまう。そうなると、一人ひとりに割ける時間はどんどん少なくなっていきます。

予算という上からの重さと、こうしたイレギュラーという下からの重さ。この二つに同時に挟まれるのが、管理職として一番きついところだと思っています。狙って起きるものではないので、対策を立てても、また別の形で起きます。

一番余裕がなかったのは、プレイングマネージャーの時期です

この板挟みが一番強くなるのは、プレイングマネージャーだった時期です。自分個人の予算もある。チームの予算もある。両方を達成させないといけません。自分の商談を進めながら、メンバーの状況も見て、イレギュラーが起きればそこにも対応する。時間は増えないのに、見なければいけない範囲だけが広がっていきます。プレイヤーから管理職になったばかりの大変さについては、以前半年でプレイヤーから課長になりました。数字は作れても、教えるのは別の才能でした。という記事でも書きましたが、今回はその先、チームの規模がある程度大きくなってからの話です。

数字を作る力と、二重の予算を同時に回す体力は、まったく別のものです。ここを混同したまま任せてしまうと、本人が気づかないうちに限界を超えてしまいます。自分の場合、まさにそこで限界を超えていました。

部下には、言わないようにしていることがあります

この余裕のなさを、部下に話したことはほとんどありません。ネガティブに伝わりそうな内容は、基本的に言わないようにしています。「自分にも余裕がない」という一言は、その典型です。言うことでプラスに働く場面がまったくないわけではありませんが、少なくとも自分から積極的に話す内容ではないと思っています。話していないと話せない内容というのは、管理職には確かにあります。

なぜ、弱さを見せないほうがいいと思っているか

ネガティブな内容を安易に共有すると、チーム全体の空気に響きます。管理職の余裕のなさが伝わると、メンバーはそれを見て、自分たちも守りに入ってしまうことがあります。だから、自分の状態をそのまま垂れ流すことはしません。ただし、これは弱さを隠し続けるという意味ではありません。伝えて意味があるタイミングを選んでいる、というだけの話です。

弱さを見せないことと、弱さを認めないことは別です

ここで言っているのは、日常的に弱音を垂れ流さない、という話であって、自分の限界を認めないという話ではありません。むしろ、限界を認めたからこそ、後で書く仕組みへの切り替えという判断ができました。弱さを見せないのは対外的な振る舞いの話で、弱さを認めるのは自分自身への向き合い方の話です。この二つを一緒にしてしまうと、ただ我慢を続けるだけの管理職になってしまいます。

一度、組織を潰してしまったことがあります

この重さと、うまく付き合えるようになったわけではありません。むしろ一度、失敗しています。自分の場合は、一度チームを潰してしまった過去があります。

そこから作り直して、今は70名規模の組織まで育っています。潰した経験があるから今があるとまでは言いませんが、そこで何を変えたかは、はっきり言えます。

自分の時間ではなく、仕組みに置き換えました

作り直す中で変えたのは、自分がすべてに時間を割くというやり方をやめたことです。右腕・左腕になる人を作り、仕組み化するところまで進めました。一人で見られる範囲には限界があります。だから、自分の時間で穴を埋めるのではなく、仕組みで補う方向に舵を切りました。

右腕・左腕を作るというのは、単に仕事を分担するという以上の意味があります。自分がいないと回らない状態のままでは、いずれまた同じように潰れます。だから、自分がやっていたことを、少しずつ人に渡していきました。渡す相手を育てる時間も必要なので、すぐに楽になったわけではありません。

潰れる前は、自分が動けば何とかなると思っていました。動けば動くほど、それが逆にチームの自走力を奪っていたことに、当時は気づいていませんでした。作り直す過程で初めて、自分が抜けても回る状態を作ることの方が、目の前の穴を自分で埋め続けることより大事だと分かりました。

それでも、仕組みだけでは足りないと感じています

ただ、仕組み化さえすれば全部が解決するとは思っていません。トップである自分自身が、このチームをどうしていきたいのか、どれくらいの規模まで育てたいのか。そういう思いが乗っていないと、仕組みは機能しにくいと感じています。仕組みは、あくまで人を動かす器でしかありません。器に何を入れるかは、結局トップの熱量次第だと思っています。

メンバーは、仕組みそのものより、その仕組みを通してトップが何を実現したいのかを見ています。規模を大きくしたいのか、質を上げたいのか、それとも別の狙いがあるのか。そこが曖昧なままだと、どれだけ整った仕組みを作っても、人はなかなか動きません。

まとめ

予算を達成させる重さと、現場のイレギュラーに振り回される重さ。この二つに同時に挟まれるのが、管理職の一番きついところです。自分はその重さの中で一度組織を潰し、作り直す過程で、自分の時間を差し出すのではなく仕組みに置き換えることを覚えました。ただ、仕組みだけでは足りず、そこにトップの思いが乗っているかどうかが、結局は一番大きいと今は思っています。

もし、あなたの上司が余裕なさそうに見えたら

もし今、あなたの上司がいつもどこか余裕がなさそうに見えるなら、それはこうした板挟みの中にいる可能性があります。予算の重さと、現場のイレギュラーの重さを、同時に抱えているのかもしれません。管理職は、その事情をあまり部下には話しません。話さないからといって、余裕があるわけではない、ということです。

これは、上司を擁護するための話ではありません。ただ、上司の余裕のなさが、あなた個人への評価や不満から来ているとは限らない、ということは知っておいて損はないと思っています。

板挟みのしわ寄せが、自分に来ていると感じたら

この板挟みは、管理職だけの話ではありません。メンバー側にも、上司の板挟みのしわ寄せが来ることがあります。急に手が薄くなった、フォローが減った、と感じる時期があれば、それは上司の側にも余裕がない時期と重なっているのかもしれません。

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この記事を書いた人

営業ひとすじ20年。電話営業・インサイドセールスの現場から始まり、約70名の営業組織のマネジメントを経験。採用面接にも数百人単位で関わってきました。「辞めて正解だった人」も「辞めなくてよかった人」も見てきた立場から、テレアポ・インサイドセールス・営業職の次のキャリアについて、きれいごとではない話を書いています。

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