営業から市役所職員へ。うちの元部下が選んだ道の話をします。

営業から市役所職員へ。うちの元部下が選んだ道の話をします。 コラム

うちの部下だった一人が、最近、市役所の職員になりました。

営業の世界から離れて、公務員になったんです。

正直に書きます。彼から報告を受けたとき、僕は「公務員になって何がおもろいんや」というようなことを、つい口にしてしまいました。

本当にそう思っていたわけではありません。でも、20年ずっと数字を追いかけてきた人間の口からは、反射的にそういう言葉が出てしまうんです。

もともと、なりたかった人だった

彼は、辞めたくて辞めたわけじゃありませんでした。もともと「市の職員になりたい」という気持ちを、ずっと持っていた人でした。

だから今回のことは、営業から「逃げた」転職ではなく、「戻った」転職なんだと思います。前から行きたかった場所に、ようやくたどり着いた。そういう転職です。

採用にも関わってきた立場として、これは大事な違いだと思っています。「今の仕事がしんどいから、とりあえず違うところへ」という転職と、「もともとこれがやりたかった」という転職では、覚悟の質がまるで違います。

公務員は、簡単な道じゃない

「公務員になって何がおもろいんや」なんて言った自分を、後から少し恥ずかしく思いました。

だって、公務員試験は簡単に突破できるものじゃありません。筆記試験があって、その上で面接もある。倍率は昔より下がっていると聞きますが、それでも「誰でも通る」ようなものではありません。「安定してるからいいよな」なんて言葉で片付けられるほど、軽い道のりじゃないんです。

それに、今の時代に本当に「安定した仕事」なんてあるのか、僕は正直疑問に思っています。市役所の仕事だって、住民対応やクレーム対応、災害対応まで含めて、実際はかなり大変だと聞きます。世間で言われる「勝ち組」みたいなイメージとは、たぶん違う現実がそこにあるはずです。

それでもあえて、その大変な道を選んだ。それは、僕にはない発想でした。

自分にはない発想だった、という話

僕は、営業という仕事のわかりやすさが好きです。受注を取る。成約する。件数を上げる。数字という形で、自分の働きがそのまま結果になって返ってくる。仕事をする上で、数字を作ることが自分にとって一番やりやすい形なんです。

でも、公務員の仕事って、何をもって「成果」とするのかがはっきりしません。市役所の職員だから、突き詰めれば国民のため、住民のために働く仕事です。営業みたいに「今月いくら取った」という分かりやすい物差しは、そこにはない。

正直に言うと、それは僕には無理だと思います。数字で測れない仕事に、僕は自分の働きの意味を見出せる自信がありません。

だからこそ、彼のことをすごいと思ったんです。自分にない発想、自分には選べない道を、迷いなく選んだこと。それは、憧れに近い感情でした。

採用にも関わってきた立場から、思うこと

この話をブログに書こうと思ったのは、転職を考えている人に伝えたいことがあったからです。

「営業を続けるべきか」「まったく違う道に進むべきか」で悩んでいる人は多いと思います。そのときに大事なのは、「どっちが正解か」ではなくて、「自分がどっちのタイプなのか」を知ることだと、僕は思っています。

数字で結果が見える仕事にやりがいを感じるタイプなのか。それとも、目に見える数字がなくても、誰かの役に立っているという実感で働けるタイプなのか。

僕はどう考えても前者です。彼は後者でした。どちらが上ということはありません。ただ、自分がどちらなのかを分かっていないと、転職してもまた同じところでつまずきます。

営業を辞めて公務員になった人の話を、営業の話として書いているのは変かもしれません。でも、採用する側として何百人、何千人と見送ってきた中で、こういう「自分に正直な決断」をした人のことは、ずっと覚えているものです。

彼が市役所でどんな仕事をしているのか、詳しくは聞いていません。でも、あの人ならきっとうまくやっているだろうと、僕は思っています。

この記事を書いた人

営業ひとすじ20年。電話営業・インサイドセールスの現場から始まり、約70名の営業組織のマネジメントを経験。採用面接にも数百人単位で関わってきました。「辞めて正解だった人」も「辞めなくてよかった人」も見てきた立場から、テレアポ・インサイドセールス・営業職の次のキャリアについて、きれいごとではない話を書いています。

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