面接まで行けば話せるのに、書類で落ちてしまう。
テレアポ経験者の方から、これは本当によく聞きます。そして、書類選考で落とす側もやってきた立場から言うと、原因はだいたい同じところにあります。
先に、いちばん大事なことを言ってしまいます。
書類選考にかけている時間は、1枚あたり数分もありません。
ひどい言い方に聞こえるかもしれませんが、現実です。何十枚と目を通すので、じっくり読み込むことはできません。だから「短い時間で、何が伝わるか」がすべてです。ここを分かっているかどうかで、通過率は変わります。
ただ、先に言っておくと、この記事の最後で「私自身は職務経歴書をそこまで重視していない」という話をします。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、そこまで読んでもらえると、書類の本当の役割が分かるはずです。まずは、通る書き方から見ていきましょう。
先に、通る書き方の実物を見てください
解説より、実物を見たほうが早いと思います。同じ経歴でも、こう変わります。
よくある書き方
【職務内容】
法人向けのテレアポ業務に従事。新規顧客の開拓を担当し、アポイントの獲得を行っておりました。日々目標達成に向けて努力し、粘り強く取り組みました。
丁寧です。真面目さも伝わります。でも、読んでも、この人が何をした人なのか分かりません。数分しか見ない側からすると、判断ができないのです。
通る書き方
【職務内容】
法人向け新規開拓のアウトバウンド(架電)業務を担当。
・1日あたり平均350〜500コールを継続(月間約8,000コール)
・アポイント獲得率 3.2%(部内平均2.1%)
・担当リストの精査から架電、アポ設定、営業への引き継ぎまで一貫して対応【工夫したこと】
・獲得率が伸び悩んだ際、時間帯別の接続率を集計し、決裁者につながりやすい時間帯に架電を集中させるよう変更
・断り文句を12パターンに分類し、それぞれの切り返しトークを作成してチーム内で共有
・上記により、獲得率が2.0%から3.2%に改善
どうでしょうか。数分でも、この人が何をした人なのか分かります。しかも「言われたことをやっていた人」ではないことが、はっきり伝わります。
ここから、なぜこう書くのかを説明します。
必ず書くべき3つ
1.「アウトバウンド」と明記する
意外と抜けているのが、これです。テレアポは「アウトバウンド業務」「架電業務」と明記して、受電と区別すべきだとされています(出典:サクレキ)。
「電話業務」とだけ書かれていると、読む側は受けていたのか、かけていたのか判断できません。この2つは、まったく別の仕事です。ここが曖昧なだけで、評価のしようがなくなります。
2. プロセスの数字を書く
数字は、実力を客観的に示す材料になります(出典:応募書類マスター)。架電数、獲得数、獲得率、達成率。書けるものは全部書いてください。
ここで、多くの方が手を止めます。「予算を達成していないから、書けるものがない」と。
そんなことはありません。結果の数字が良くなくても、プロセスの数字は必ずあります。
「1日500コールは絶対に回していた」。これは立派な数字です。訪問営業なら「1日◯件は必ず回っていた」。自分に課していた日々の目標数と、それをやり切った事実。これが書けない人は、まずいません。
ひとつ補足すると、コール数の基準は、個人のお客さま向けか法人向けかで、まったく変わります。個人向けで500件と、法人向けで500件は、意味も難易度も別物です。なので「何件だから立派」という絶対的な基準はありません。大事なのは件数の多さではなく、「自分は何を基準に、どう積み上げていたか」です。そこを書いてください。
そして、可能なら比較対象を添えてください。「獲得率3.2%(部内平均2.1%)」のように。数字は、単体より比較があるほうが何倍も伝わります。
ちなみに、数字の勝ち方は1つではありません
ここは意外と知られていないのですが、数字の作り方には大きく2つのタイプがあって、どちらも評価されます。
ひとつは、母数で押すタイプ。 成約率そのものは高くなくても、通電率や通電数を上げて、お客さまと話す回数そのものを増やす。その結果として受注を積み上げ、平均値(アベレージ)が高い。これは立派な戦い方です。
もうひとつは、決定率で勝つタイプ。 母数も通電数もそこまで回していないのに、成約率が高い。これは1リスト・1案件あたりの決定率が高いということなので、採る側からすると「この人は少ない顧客で実績を上げてくれるな」というイメージが湧きます。
まったく逆のタイプですが、どちらも強いのです。
大事なのは、自分がどちらのタイプで、何を重視して仕事をしてきたのかを、自分で分かっていること。目的を持って取り組んできた人なら、これは必ず語れます。もし語れないとしたら、数字を「与えられたもの」としてこなしてきただけかもしれません。
3. 工夫と改善のプロセスを書く
ここが本命です。
「トークスクリプトを自作した」「架電する時間帯を分析した」「断り文句への切り返しをリスト化した」といった行動は、どの職種でも通用する課題解決能力として評価される、とされています(出典:SQiL Career Agent)。
私の言葉で言えば、これは「PDCAを回せる人かどうか」を示す部分です。書類で本当に知りたいのは、成績の良し悪しではありません。うまくいかなかったときに、この人は何をしたのか。それだけです。
だから、書くべきは「課題 → やったこと → どう変わったか」の順番です。上のサンプルも、その形になっています。
受電の経験も、書き方次第で武器になります
「アウトバウンドと分けろ」と書きましたが、受電の経験を消せという意味ではありません。
お客さま対応のクオリティ、言葉遣い、クレームを起こさない配慮。そういうものを自分で意識して取り組んできたのなら、それは立派な強みです。
とくに、クライアントを背負ってのアウトバウンドでは、クレームを絶対に起こせません。そういう現場では、品質意識のある人は本当に重宝されます。私も、そこは強く見ていました。
ですから、受電経験は「対応していました」で終わらせず、「何を意識していたか」まで書いてください。それだけで、印象が変わります。
やりがちな、もったいない書き方
- 「日々努力し、粘り強く取り組みました」
人柄は伝わりますが、判断材料になりません。努力の中身を書いてください。 - 数字がひとつもない
営業職の書類で数字がないのは、致命的です。結果でなくプロセスでいいので、必ず入れてください。 - 会社の説明ばかり長い
読む側が知りたいのは、会社ではなくあなたです。 - すべてを詰め込む
応募先によって、強調する場所を変えるべきだとされています(出典:マーキャリメディア)。同業なら数字、営業職なら課題を聞き出す力、というように。全部を同じ濃さで書くと、何も残りません。
ここまで書いておいて何ですが、私は職務経歴書をそこまで重視していません
矛盾しているようですが、正直に書きます。
私自身は、職務経歴書をあまり参考にしていません。 元も子もない話かもしれませんが、会ってみないと分からないと思っているからです。対面に勝るものはありません。会って、話して、判断する。それが正だと思っています。
それに、営業、とくにインサイドセールスは常に人が足りていません。だから正直なところ、応募してくださった時点で、こちらからすれば宝であり、財産なんです。書類でふるいにかけるより、まず会おう、話してみよう。私はそこを大事にしてきました。
ですから、あなたが思っているほど、書類は絶望的な関門ではありません。
じゃあ、何を見て「会おう」と決めるのか
とはいえ、「会ってみたい」と思わせる要素はあります。私の場合は、この3つでした。
1つめは、埋めるところが全部埋まっているか。 空欄だらけの書類は、それだけで「この会社、そこまでではないのかな」と伝わってしまいます。逆に全部埋まっているだけで、印象は変わります。
2つめは、丁寧さ。 古臭いと言われるかもしれませんが、私はいまだに、手書きの履歴書を送ってくる方には会いたくなります。字が上手いかどうかは関係ありません。字が汚くても、その人なりに丁寧に書いた努力が見えれば、それだけで会ってみたいと思います。今どきスマホでもデジタルで作れる時代に、わざわざ手書きを選んでいる。その時点で、伝わるものがあるんです。
3つめは、写真の表情です。 これも元も子もない話ですが、面構えを見て「この人と話してみたい」と思うことは、正直あります。
結局のところ、「絶対にこの会社に入りたい」と思っているかどうかは、そういう細部に出ます。丁寧な仕事ぶりというのは、隠せません。
そして、面接では全員にこれを聞きます
書類の話から少し先回りしますが、これは知っておいてほしいので書きます。
私は面接で、相手がどんなトップパフォーマーであっても関係なく、必ずこう聞いていました。
「うまくいかなかった時は、どうしますか」
「これまでは、どうやって乗り越えてきましたか」
なぜかというと、うまくいかなかった時ほど、その人の本性が出ると、常々思っているからです。そこで諦めてしまうのか。何クソという反骨心で頑張れるのか。それとも、まったく違う表情を見せるのか。順調なときの姿は、誰でも同じに見えます。
ということは、です。職務経歴書に「うまくいかなかった時に何をしたか」を書いておくと、その先の面接までまっすぐつながります。上のサンプルで「獲得率が伸び悩んだ際に、時間帯別の接続率を集計した」と書いたのは、そういう意味です。
あなたも、必ずやっているはずです。かける時間を変えてみた。話す順番を変えてみた。断られた理由をメモしていた。それを思い出して、書く。 やることは、それだけです。
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※出典を記載した部分は、その媒体の見解・一般的な傾向です。出典のない部分と本文中のサンプルは、筆者が約70名の営業組織を管理してきた中での実感をもとにした例であり、統計や実在の応募書類ではありません。書類選考の基準は、企業・職種・時期によって変わります。
この記事を書いた人
営業ひとすじ20年。電話営業・インサイドセールスの現場から始まり、約70名の営業組織のマネジメントを経験。採用面接にも数百人単位で関わってきました。「辞めて正解だった人」も「辞めなくてよかった人」も見てきた立場から、テレアポ・インサイドセールス・営業職の次のキャリアについて、きれいごとではない話を書いています。


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