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面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれて、「特にありません」と答えてしまった経験がある人は多いと思います。営業職の転職では、実はこの逆質問こそが差がつく場面です。私は営業ひとすじ20年、約70名の営業組織をマネジメントし、採用にも関わってきました。逆質問への答え方で候補者への印象が変わる瞬間を何度も見てきた立場から、営業職の面接で何を聞くべきかを書きます。テレアポやインサイドセールスの経験者が、次のキャリアを考える上でも参考にしてもらえたらと思います。
なぜ営業職の面接で、逆質問が特に大事なのか
逆質問は、企業側から見ると「この人は、入社後も自分で情報を取りに行けるタイプか」を確認できる、数少ない場面です。営業という仕事は、指示を待つだけでは数字が作れません。分からないことがあれば自分から聞きに行く、状況を整理してから動く、この姿勢が求められます。だからこそ、逆質問の中身そのものよりも、質問の立て方や視点に、その人の営業としての姿勢がにじみ出ます。
「特にありません」で終わらせてしまうと、この場面をまるごと使わないことになります。もったいないと思います。逆に言えば、聞く内容を少し工夫するだけで、他の候補者と差がつく場面でもあります。面接官の立場から見ても、当たり障りのない逆質問が続く中で、具体的で自分の状況に根ざした質問が来ると、それだけで記憶に残ります。
まず聞くべきは、「追う数字の中身」
営業職の逆質問として、私が一番おすすめしたいのは、実際に追う数字の中身を具体的に聞くことです。求人票や面接の中で「営業成績を評価します」「数字を追っていただきます」といった説明はあっても、その数字が具体的に何を指しているかまでは、意外と語られません。
売上金額なのか、契約件数なのか、新規開拓の件数なのか、それとも架電数やアポ数のような行動量なのか。同じ「営業成績」という言葉でも、追いかけるべき数字の種類はまったく違います。ここを面接で確認しておくと、入社後に「思っていた仕事と違う」というギャップを減らせます。
具体的な聞き方としては、「評価される数字は、金額ベースなのか件数ベースなのか、教えていただけますか」「新規開拓と既存のフォロー、どちらの比重が大きいですか」といった質問が挙げられます。
「外から見えるもの」と「実際に求められるもの」は違う
これは採用に関わってきた立場から強調しておきたいことです。求人票やホームページに書かれている情報と、実際に配属されてから求められることには、ズレがあることがあります。悪意があってズレているわけではなく、求人票は多くの応募者に向けて書かれた一般的な説明であり、実際の現場は部署やチームによって事情が違うからです。
「アットホームな職場です」と書かれていても、実際にはかなり数字にシビアな環境だった、ということもあります。逆に「体育会系」という言葉から想像していたよりも、実際は落ち着いた雰囲気だった、ということもあります。表面の言葉だけで判断せず、実際に働いている人がどう感じているかを、面接の場で聞いてみる価値があります。
例えば「配属予定のチームは、今どんな雰囲気ですか」「入社した方が、最初の3ヶ月でよく戸惑うことは何ですか」といった質問は、求人票には出てこない現場のリアルを引き出しやすい聞き方です。
採用の現場に長くいると、「求人票の言葉と、実際に配属先で求められることが違った」という理由での早期離職を、何度か見てきました。会社側に嘘をつくつもりはなくても、求人票を作る人事と、実際に現場でメンバーを動かす管理職との間に、認識のズレがあることは珍しくありません。だからこそ、求人票に書かれた言葉をそのまま信じるのではなく、面接という直接話せる場で、現場の温度感を確認しておく意味があります。
配属先によって、求められる数字はまったく変わる
営業職は、同じ会社の中でも配属される部署によって、求められる数字の中身が大きく変わります。法人営業と個人営業では、扱う商材の単価も、意思決定にかかる時間も違います。新規開拓中心のチームと、既存顧客のフォロー中心のチームでは、評価される行動そのものが違います。
例えば、新規開拓が中心のチームでは、架電数やアポ獲得数といった行動量そのものが評価の軸になりやすく、日々の数字の動きが目に見えやすい環境になります。一方、既存顧客のフォローが中心のチームでは、行動量よりも、契約の継続率や、顧客からの追加発注といった、少し長いスパンで見る指標が評価の軸になることが多くなります。同じ「営業」という肩書きでも、日々の仕事の進め方も、数字に対するプレッシャーのかかり方もまったく違います。
配属先がまだ決まっていない状態で選考が進んでいる場合は特に、この点を聞いておく価値があります。「配属先によって、求められる数字や動き方はどう変わりますか」と聞いておけば、自分がどのタイプの営業に向いているか、入社前にある程度イメージできます。配属によって働き方が大きく変わる仕事だからこそ、ここを曖昧にしたまま入社すると、ミスマッチが起きやすくなります。
給料をストレートに聞くのは、避けたほうがいい理由
逆質問の場で、給与について直接的に聞くのは避けたほうがいいというのが、これまで面接に同席してきた実感です。給与や待遇は、当然気になる部分ですが、逆質問の場でストレートに聞くと、「条件面しか気にしていないのでは」という印象を持たれるリスクがあります。
もちろん、給与や待遇を確認すること自体が悪いわけではありません。ただ、それは面接の逆質問というより、選考が進んだ段階や、内定後の条件確認のタイミングで聞くべき話です。あるいは、転職エージェントを間に挟んでいる場合は、エージェント経由で確認してもらう方法もあります。この点は、転職エージェントの面談で何を聞かれるかを書いた別記事でも触れているので、あわせて参考にしてみてください。
逆質問の場では、条件面よりも、仕事の中身や働く環境についての質問を中心に据えるほうが、印象という意味でも得策です。
面接の段階によって、聞くべき逆質問は変えていい
一次面接と最終面接では、逆質問の役割が少し変わります。一次面接では、現場の担当者や配属先の管理職が同席することが多く、日々の仕事内容や、追う数字の中身、チームの雰囲気といった、現場に近い質問が答えやすく、また聞かれる側も答えやすい傾向があります。
最終面接になると、役員クラスや経営層が同席することが増え、事業の方向性や、会社としてどんな人材を求めているかといった、少し視座の高い質問の方が噛み合いやすくなります。「今後、営業組織としてどんな方向を目指しているのか」「このポジションに、会社としてどんな期待をしているのか」といった質問は、最終面接の方が意味を持ちやすい質問です。
どの段階でも同じ逆質問を繰り返すのではなく、目の前にいる人が答えやすい質問、そして自分にとっても意味のある質問を、その都度選び直す意識を持つといいと思います。
効果的な逆質問に共通する視点
これまでいろいろな逆質問を受けてきましたが、印象に残る逆質問には、ある共通点があります。それは、会社側の都合を聞き出そうとする質問ではなく、「そこで働いている人」や「そこにある環境」が見えてくる質問だということです。
例えば、評価制度について聞くのは、条件確認のようでいて、実は「頑張りがどう報われる会社なのか」を知るための質問です。実際に成果を出している人に共通していることを聞くのも同じで、その会社で評価される行動の傾向が見えてきます。こうした質問は、面接官にとっても答えやすく、かつ候補者の本気度が伝わりやすい質問です。
逆に、有給消化率や残業時間だけを立て続けに聞くような逆質問は、聞くこと自体は悪くないのですが、それだけで終わると「条件を確認しに来ただけ」という印象になりがちです。聞くなら、その先にある「働く人の実態」まで踏み込んで聞くことをおすすめします。
未経験からの転職者は、オンボーディングの質問が特に有効です
テレアポやインサイドセールスの経験者が、フィールドセールスや別の営業職種に挑戦する場合など、業界や職種の一部が未経験に近い形での転職では、逆質問の中でもオンボーディング(入社後の受け入れ体制)について聞いておくことを特におすすめします。
「未経験からこのポジションで活躍している方は、最初の数ヶ月をどう過ごしていましたか」「独り立ちまでに、どんな研修やOJTがありますか」といった質問は、未経験者を受け入れる体制がどれだけ整っているかを確認できます。この体制がしっかりしている会社は、未経験者の早期離職にもきちんと向き合ってきた経験がある会社だと考えられます。逆に、この質問への回答が曖昧だった場合は、まだ受け入れ体制が整っていない可能性があるとして、心づもりをしておくといいと思います。
具体的な逆質問の例
ここまでの内容を踏まえて、営業職の面接で使える逆質問の例をいくつか挙げます。そのまま使ってもいいですし、自分の言葉に置き換えて使ってもらっても構いません。
追う数字を具体的に知るための質問
「評価される数字は、金額ベースと件数ベース、どちらの比重が大きいですか」
「新規開拓と既存顧客のフォロー、業務の割合はどれくらいですか」
「チームとしての目標と、個人としての目標は、どういう関係になっていますか」
評価制度や成長環境を知るための質問
「評価は、数字の結果だけでなく、プロセスの部分も見てもらえますか」
「今活躍している方に、共通している特徴はありますか」
「入社後、最初にどんな研修やサポートがありますか」
現場のリアルを知るための質問
「配属予定のチームは、今どんな雰囲気ですか」
「入社した方が、最初の数ヶ月でよく戸惑うことは何ですか」
「このポジションで長く活躍している方は、どんな理由で続けていますか」
逆質問の中身より、「なぜそれを聞くのか」を話せるかが見られている
ここまで具体的な質問例を挙げてきましたが、実は面接官として一番見ているのは、質問の中身そのものよりも、その質問をする理由を、自分の言葉で説明できるかどうかです。
同じ「評価制度について教えてください」という質問でも、「なんとなく気になったので」と答える人と、「自分は数字の結果だけでなく、そこに至るプロセスも大事にしたいタイプなので、そういう部分も評価してもらえる会社なのか知りたいです」と答えられる人とでは、印象がまったく違います。後者のように話せる人は、自分の働き方や価値観を理解した上で会社を選ぼうとしていることが伝わり、結果として「この人はミスマッチが起きにくそうだ」という安心感につながります。
逆質問を準備するときは、質問のリストを丸暗記するのではなく、「自分はなぜそれが知りたいのか」まで一言添えられるように、自分の中で整理しておくことをおすすめします。
回答を受けて、もう一言つなげられると印象が変わる
逆質問をして、答えをもらったら、そこで終わらせずに一言つなげてみるのもおすすめです。例えば「評価される数字は、金額ベースが中心です」という回答をもらったら、「そうなんですね、前職でも金額ベースで動いていたので、そこは近い感覚で働けそうです」というように、自分の経験と結びつけて一言添えます。
これは、単に会話を弾ませるためのテクニックではありません。回答を受けてすぐに自分の言葉で反応できるということは、その場でしっかり話を聞いて、自分の状況と照らし合わせて考えられているという証拠になります。逆質問は「聞いて終わり」ではなく、そこから始まる短いやり取りまで含めて、一つのコミュニケーションだと捉えておくといいと思います。
もちろん、無理に会話を広げようとする必要はありません。答えを聞いて、素直に「なるほど」と思ったなら、それをそのまま言葉にするだけでも十分です。取り繕った反応よりも、自然な反応の方が、聞いている側には伝わります。
避けたほうがいい逆質問
最後に、避けたほうがいい逆質問についても触れておきます。まず、調べればすぐ分かることを聞くのは避けたほうがいいです。会社の事業内容や設立年など、ホームページを見れば分かる情報を質問すると、「準備をしてきていないのでは」という印象につながります。
また、「特に質問はありません、御社にお任せします」というような、相手に判断を委ねすぎる答え方も、もったいない選択です。逆質問がないこと自体が悪いわけではありませんが、営業職の面接においては、自分から情報を取りに行く姿勢を見せられる貴重な場面なので、できれば1つは用意しておくことをおすすめします。
先ほど触れた給与や待遇についても、聞き方によっては問題ありません。「入社後、条件面についてはどのタイミングでご相談できますか」といった、タイミングを確認する聞き方であれば、直接的に金額を聞くよりも印象を損ないにくくなります。
最後に
逆質問は、面接の最後にある「おまけ」の時間ではありません。営業職の面接においては、自分から情報を取りに行く姿勢そのものを見せられる、数少ない場面です。追う数字の中身、配属によって変わること、そして働く人や環境が見える質問。この3つの視点を持っておくだけで、逆質問の質は大きく変わります。
逆質問は、暗記して臨むものではなく、自分がその会社でどう働きたいかを、質問という形で表現する場だと思っています。準備した質問がそのまま使えなくても、この記事で書いた3つの視点(追う数字・現場のリアル・働く人や環境)を頭に入れておけば、面接の流れの中で自然に聞くべきことが見えてくるはずです。緊張する場面だとは思いますが、聞きたいことを言葉にできた分だけ、入社後のギャップは小さくなります。
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